里山のレビュー・感想・評価
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暑くて、だけど涼しい里山の夏
映画「里山」(菊池哲理監督)から。
単なる自然保護ではなく、里山として自然を残していく。
これは、日本の各地で受け継がれてきた日本人の知恵というべき、
自然との関わり方である。
「人が手を入れてきた雑木林は、太陽の光が行き届き、
多くの生き物たちの住処になっています」
このナレーションの意味は大きな気がしてメモをした。
それをもっと短いフレーズで表現したのが
「暑くて、だけど涼しい里山の夏」ではないかと思う。
NHKスペシャルらしい(笑)、驚くような視点からの
徹底取材された映像に大満足しながらも
「昆虫採取こそ、日本人独自の子どもの遊びの文化」
「木を切るのは先祖から受け継いできた森を守るため」
「必ず株を残して木を切るようにしたのじゃ」
「村人は鳥のためといって、柿を少しだけ残しておく」
「裏庭に現れる昔話の登場人物たち。(狐や狸)
「人家のすぐ裏にこれほど多くの野生動物が
ともに暮らしているのは、日本ぐらいではないだろうか」
等、ハッとさせられる里山に暮らす人々の知恵に、
ただただ頷くばかりであった。
「日本独自の四季を、そこに住む人も生き物も味わっている」
この光景、特別な場所ではないはず。
自分の身の回りの自然、もう一度、見つめ直したい。
人間たちもサイクルのひとつ。
★
NHKで放送され数々の賞を受賞しているというドキュメンタリーの劇場版。
里山で共生する虫、動物、人間たちの日々の営みを、
長い年月をかけて築かれてきた関係を、
老木“やまおやじ”の語りで私たちに教えてくれる。NHKらしく。
大海原でもなく、地球でもなく、宇宙でもなく、
小さな世界へ目を向ける自然ドキュメンタリー。
雑木林が維持されていくサイクルの中に人間も加えてもらっている。
人間たちも、虫たちも、動物たちも、自然の恩恵を受けるが、
千年以上の長くの時間を維持させるには、必要以上に求めることはせず、
そのサイクルが壊れることがないように共存している。
伐採した木を、ほた木として利用し、シイタケ栽培をし、
ニョキニョキと伸びていくシイタケ。
伐採された切り株から新しい芽がニョキニョキと伸びていく。
どれだけの時間をかけて撮影されたものなのでしょう。
その伐採も、もし行われなかったら
雑木林は新しく生まれ変わることもなく廃れていくのでしょう。
シイタケ栽培を終えた、ほた木はまとめて捨てられるが、
それもまたカブトムシの幼虫の餌になり、
その幼虫を餌にする動物たちもいる。もちろんほた木は土に返っていく。
そんなサイクル。植物たちのサイクル。ミツバチたちのサイクル。
その恵みを分けてもらう、人間たち、動物たち。
カブトムシの決闘には笑ってしまったが、
劇場の大スクリーンで耐えられる映像になっているかは、分かりませんが、
都市部に住んでる人間が言うのは簡単ですが、
残っていって欲しい世界です。
★
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