エルム街の悪夢のレビュー・感想・評価
全22件中、21~22件目を表示
リメイクものの宿命か
拙ブログより抜粋で。
--
結論から言えば、控えめに抑えた期待通り、今どきのホラー映画としてまあまあの凡作。
ホラー映画の楽しさを教えてくれた1984年版を観てからすでに四半世紀近くも経ち、スクリーンから漂う雰囲気に懐かしさを感じると同時に、いくら最新技術で名シーンを再現されても、もはやこのシリーズは古典なんだと認めざるを得ない、なんとも言えない感触が感慨深かった。
前半はかなり忘れかけていた旧作の“雰囲気”を忠実になぞっている印象。
キャストが旧シリーズでフレディを演じたロバート・イングランドからジャッキー・アール・ヘイリーに代わったのでフレディの顔立ちが変わったのは個人的にはギリギリ許容範囲。
細かいストーリーは意外とアレンジされているんだけれど、超有名なバスタブの湯の中から伸びてくる鉄の爪とか、廊下を引きずられる遺体袋とかの再現に、あったあったと思い出す。
ただシーンとして忠実に再現しているのはわかるのだが、どうも演出が淡泊で、旧作で感じたはずのゾクゾク感がまるでない。ほんと、ただ再現しただけっていう印象なの。
観ながら感じていた違和感は後半でより強くなる。
いかにもホラーに謎解きを入れたがる今風だなと思ったのだが、悪夢に悩まされるナンシーらのフレディの正体探しが始まっちゃう。
それ以上に驚いたのが、行き着くフレディの正体。
おいおい、ちょっと待て、フレディってそんなロリコン変態男だったか?いやまぁ、連続幼児惨殺魔なんだからそういう傾向はあったかもだけど、そんなあからさまに言及されちゃうと違う映画になっちゃう。
旧シリーズで自分が感じてたキラー・モンスター、フレディ・クルーガーの魅力って夢と現実を交錯させる神秘性と、絶対的優位からくる余裕かましたインテリジェンスな狂気だったんだけど、これじゃただの異常小児性愛者じゃん。
後半に感じた強烈な違和感から、思わず旧作を観直しちゃったよ。ひょっとしたら自分の記憶違いかもしれないと思って。
そしてわかってしまった。やっぱり名作ホラーと呼ばれるオリジナル版の方が断然面白い。
オリジナルと比較すると今一歩ですが。
スラッシャーホラーの名作『エルム街の悪夢』をまたまたマイケル・ベイ製作でリメイク。
『13日の金曜日』があまりにアレな出来だったので(80年代ボンクラホラーの再来みたいな意味ではグッドだが)、『エルム〜』リメイクのニュースを聞いた時も全く期待していなかった。
だが予告編を観るとなかなか怖そうじゃないすか。お茶目な殺人鬼フレディは本気でオッソロシイ怪物になってるようだし、悪夢シーンも美しく撮ってあるようだ。こいつはひょっとしたら“化ける”かも知れないぞ!
で、結果は……ええ、化けませんでした。『ゼブラーマン2』鑑賞時と同じく、予告編を買い被り過ぎた。
不出来では無いが、名作のタイトルを冠しておきながら出来映えは“中の上”といった所。
旧作とは展開や同名キャラの性格が異なっているが、最大の違いは『怪物フレディは冤罪を被った復讐を行っているのではないのか?』という謎が浮上する点だろう。
その真偽は未見の方の為に伏せるが、旧作を知る人間にも先読みできない要素を盛り込んだ点は良い。
だが、折角盛り込んだ割にはあっさり描き過ぎじゃ……。もっとサスペンスに活かせば良いのに、勿体無い。
肝心の悪夢シーンも、ダイナー、プール、幼稚園などの新しい見せ場を作ろうという努力は見られるが、どれもインパクト不足。ハッとさせるシーンはあるのに、恐怖が持続しない。
旧作から引用した恐怖シーンも多いが、比較すればその“粘着性”の違いは一目瞭然だろう(あと血糊の量の差も)。
フレディは相手に恐怖を与える事を至高の喜びとする怪物。相手をじわじわいたぶるその悪意が伝わらなければ、恐怖も半減だ。正面や背後から爪でドスッ!!とやるくらいじゃ、芸が無さ過ぎるじゃござんせんか。
とはいえ、睡眠不足から来る“マイクロスリープ”を物語に活かすアイデアは見事。クライマックスに向かうに連れて現実と夢の境目が消えてゆく様はかなり怖い。
前述通り、ハッとさせるシーンは幾つもあるのだ。しかし名作リメイクということで気負ったか、色々と要素を詰め込み過ぎた。
新しい見せ場をアレコレ詰め込むよりも、悪夢のシチュエーションをひとつひとつしっかり仕上げて、ねちっこい恐怖を演出して欲しかった。
とまあ旧作との比較で辛口になってしまったが、決して出来は悪くないのでスコア3.5判定。
旧作を知らない人なら0.3ポイント増しくらいで楽しめる……かも。
<2010/6/26鑑賞>
全22件中、21~22件目を表示