「面白ネタの過剰積載」カーズ2 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
面白ネタの過剰積載
ピクサー最新作『カーズ2』、待ってましたの公開です。
僕は辣腕スパイ・マックミサイルを演じたM・ケインの
柔らかな口調が好きなので、本当は字幕で観たかったんだが、
どこもかしこも吹替版しかやってないんですよね。
悲し。
けれど吹替版も上手いので、途中からは全然気にならず。
そういやメーターの声ってぐっさん(山口智充)が演ってたの?
全く気付かなかった……。ホントに芸達者やね、この方は。
さて、今回の続編はアクション満載仕様。
007シリーズよろしく序盤から大掛かりなアクションが展開され
随所に盛り込まれたカーチェイスシーンもハイスピードで迫力十分だ。
猛速でロンドンを駆け巡るクライマックスにも大興奮!
ピクサー作品ってCGアニメでありながら、
時々実写と見間違うほど画が緻密なんで、
アクションも実写並かそれ以上の迫力に感じる。
そして、歴代ボンドカーの美味しいトコを総取りしたような
新キャラ・マックミサイルが良い! 007チックな秘密兵器がわらわら登場するので、
彼が動く度に『次は何? 次は何?』とワクワク。
けど、彼を含めた新キャラ達の人物描写に
前作ほどの深みがなかったのは残念な点。
あとは色々と要素を盛り込み過ぎて話の展開がちょっと散漫かな。
スパイアクションにレースに友情物語に異国探訪……
2時間足らずの尺でやるにはかなりキツそうな容量。
加えてパロディネタも満載してたし。
(ところでトイレ内での格闘シーンは『007 カジノロワイヤル』ぽかった。
車同士の格闘なんて見たことないし、しかもかなり壮絶(笑))
空気読めなさ過ぎなメーターにもさすがにイライラ。
ま、最後はしっかり反省してたし、友達を救おうと必死になる姿も素敵だった。
それに、どんな所でもマイペースで生きられる奴って、ちょっとだけ羨ましい。
心を打たれたのはイタリアで出会ったルイジの叔父のセリフ。
「親友だったら、どうして『変われ』なんて言ったんだい?」
そうだよね。場所や時代に合わないと分かっていても、
それでも変わってほしくないものって世の中にはある。
アクションやパロディに力を入れ過ぎたせいか、
キャラ描写や物語にいつもの深みがなく、
ピクサー作品の中では不満の残る出来かな。
けど、期待し過ぎずに『またあのキャラ達に会いたいなあ』
くらいのラク〜な気持ちで観に行けば、バッチリ楽しめると思いますよ。
<2011/8/7鑑賞>