「熊と年金とイヤリング。」人生に乾杯! ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
熊と年金とイヤリング。
名画座にて。
なんでお年寄りが銀行強盗をしなきゃならないのよ^^;
(予告でその紳士ぶりに大笑い)
その奇抜な発想と真実が、とて~も、ゆった~りとした
独特のテンポで展開されるお話。
「俺たちに明日はない」を年季でもじったお笑い映画かと
思いきや、背景には深刻な年金問題が横たわっていた。
ん?年金問題といえば…日本人にも欠かせない。
社会主義国家だった時代に結婚した二人は、今では
少ない年金で細々と暮らしているも借金取りに追われ、
ついには電気まで止められてしまう始末。
借金のカタに想い出のダイヤのイヤリングまでとられた
ことで、じいさんの怒りに火が…!あ、またじいさんだ^^;
先日も書いたが、またもじいさん奮起の映画だった(爆)
愛車チャイカで紳士強盗を繰り返し(台詞も本からの抜粋)
警察に追われてからは、妻までも相棒に加わってしまう。
まぁ~この二人の強盗行脚が楽しいこと♪
二人の幸せそうな顔を見てると、とても悪事とは思えない。
過去の不幸(色々あったわけで)を乗り越えた二人にも、
高齢者に対する世間の風は更に冷たかったわけなのだ。
そんな問題を背景にしながら、物語は至極淡々と進む…。
面白いというほどのテンポの良さはなく、かといって
どうなるのか気になって目が離せない。ハンガリー産の
映画を観る機会があまりない身にとっては初めての体感。
しかもあのラストとは…。巧い^^;
強盗が素晴らしい策とはいえないが、
地味な年寄りが暮らすこともできない国自体どうなのか。
私は日本人だから
「だから貯めておけというのに!」とつい思ってしまうのだが、
いつどうなるかも分からない世の中を渡っていく為には、
知恵と機転が最重要課題なのかも、と改めて感服した。
(やっぱ読書って大切ですよね。よく犯罪に使われるけど。)