劇場公開日 2009年5月30日

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「基本はラブコメだけど、お買い物好きな女の子の気持ちをたっぷり描かれていて、女性の多くが共感してしまうことでしょう。SATCのファンにお勧めです。」お買いもの中毒な私! 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0基本はラブコメだけど、お買い物好きな女の子の気持ちをたっぷり描かれていて、女性の多くが共感してしまうことでしょう。SATCのファンにお勧めです。

2009年6月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 小地蔵的には、経済誌で奮闘するレベッカのサクセスストーリーの方を期待していたのですが、ちょっととんとん拍子で進んでしまったので、☆一つ減点しました。。
 しかし、お買い物好きな女の子が見たら、絶対★5つのおすすめ目作品となることでしょう。
 なんと言っても、お買い物シーンが半端ではないのです。コーディーネイトは『セックス・アンド・ザ・シティ』のスタイリスト、パトレシア・フィールドが衣装デザインをしているので、今回もパトレシアのオリジナルデザインに加えても一流ブランドが続々登場します。それらを次々買いあさるレベッカに、きっと羨望のまなざしを送ることでしょう。
 そしてお買い物中毒にはまるレベッカの気持ちには、きっとお買い物好きな女の子なら誰でも共感してしまうお買い物自体の幸福感がいっぱい詰まってて、たくさんの言葉で表現されます。
 その説得力は、お買い物中毒患者の集まりでも爆発!レベッカのスピーチ一発でお買い物中毒患者たちを元のお買い物の誘惑に駆り立ててしまうほどでした。

 レベッカがお買い物に駆り立てられるとき、決まってショーウィンドゥのマネキンたちが、語り出すのです。これを買うことでいかに素晴らしくなれるかを。動くマネキンというアイディアで主人公の気持ちをうまく表現していると思いました。

 ストーリーは、転職先の経済誌編集長で、名家の御曹司でもあることを隠していたルークとのラブロマンスが軸になっています。ルークとの偶然な出会いを複線に、その後の経済誌の面接での再開、そして採用と一見あり得なさそうな設定をスムーズにつないでいました。
 そしてラブストーリーの定番は、必ず後半に一波乱あること。この場合は、レベッカが見栄を張って、カード地獄にはまっていることをルークにかくしておいたことが仇になります。つきまとう借金取りは元彼のストーカー扱いにして、嘘の上に嘘を重ね、お買い物中毒であることを誤魔化していたのが、ルークに一気にばれてしまい、二人は疎遠な仲になってしまいます。

 さらに無二の友人にも信頼をなくしてしまうようなことをやってしまいレベッカは、自分のまいた種で四面楚歌に追い込まれてしまいます。
 このピンチからレベッカが、心から反省して立ち直っていく課程もよかったです。さんざん彼女を誘惑してきたショーウィンドゥの居並ぶマネキンたちも拍手するほどでした。
 お買い物中毒の本質は、得られない苦しみを満たそうとする快楽にあると思います。だからレベッカもお買い物に夢中になっているときだけ幸せな気分でいられるけど、それは長く続かないのと刹那な気持ちを打ち明けています。
 お買い物に依存していたレベッカでも、その気持ちが解けていくのには、誰かから愛されるという実感が必要だったのでしょう。
 愛さえあれば、どんなブランド品も目じゃなくなる!すべてをの所有欲を捨てられる。レベッカが本当に欲しかったものは、愛だったんですね。

 消費大国アメリカにあって、サプライム問題を通じて、支払い能力を超えて借金で物欲を満たしてきたことに疑問を投げかける作品でした。
 果たして、ものの豊かさから心の豊かさへ、アメリカ人もレベッカのように変わっていくことができるのでしょうか?

 ジェリー・ブラッカイマーがプロデュースしているだけに、アイラ・フィッシャーはレベッカにドンピシャなはまり役。ちょっとおバカに、目を輝かせてお買い物に突進していくところは、すごく気持ちがこもっていて、あれは地のまんまではないかと思ってしまうくらいなのです。その分すごくキュートで、おとこごころをくすぐられるようなキャラクターの持ち主でしたね。

流山の小地蔵