劇場公開日 2009年5月2日

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「何があってもレスリングは辞めない」テラートレイン(2009) Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 何があってもレスリングは辞めない

2025年10月13日
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日本でリメイクするなら絶対にALSOKの霊長類最強なあの人しか居ないが、まさかのソーラ・バーチ主演。他の映画サイトでもイーライ・ロス監督の傑作ホラー、「ホステル」と比較している方が多い印象だが、今はどうなのかはさておき、やはり「ホステル」以降東ヨーロッパの"多分人生で行く事が無い国"に対する恐怖感でもあるのだろうか。異国の地でもアフリカや南米、アジア等も同様にどこか犯罪臭がしていておおよそ旅行で行こうなんて思わないが、「フィンランド式 残酷ショッピング・ツアー」等というどういうつもりで作ったのか分からない作品まで存在している。

レスリング部だろうか考古学だろうが、トレッキング目的だろうが、アメリカの若者は異国の地で必ずエッチなお店ではしゃぎ、泥酔し、犯罪に巻き込まれる。やる側からしたらいいカモに思われているのだろう。結局翌朝の電車に乗り遅れ、コーチには怒鳴られ、言葉の通じない現地の人々と会話にならない会話をし、そこで英語の出来るそりゃまた美人な医師が案内する電車に乗ったら…「ホステル」と化すという物語だ。

揺れる電車は二日酔いの彼らにとっては地獄。どうやったらこんな不衛生になるんだというトイレでゲーゲー吐き、そこでまたバカなゲームで裸で電車内を走ったりと本当にバカで正直気早く死んで欲しかったが、流石アメリカ映画であり、人体破壊シーンはまぁまぁの迫力である。「ホステル」は、富裕層がお金を払って殺人を愉しむものだったが、本作はなんと…「ドナー」として売られるのである。目が欲しい人が居れば目をえぐり取り、腸が欲しければ腸を引きずり出し、足が無かったら観光客から貰えば良いのである。そんなトンデモナイ設定だが、やられる側からしたらたまったもんじゃない。そんなカオスな列車の中を火事場の馬鹿力でソーラ・バーチ演じるヒロインは切り抜けていくのである。彼女以外の人物がモブキャラ感の強い連中ばかりだが、"切り株役"としては中々の仕事ぶりである。ただ、ドナーは簡単に出来ることではなく、移植後の拒否反応だったり、確認事項は山程あるはずである。それを、小汚い部屋で切り刻み、素手で心臓を取り出すのだ…無菌の部屋でやる様な手術を衛生もへったくれも無い所でやるのには流石に「・・・」である。その辺のリアリティをこの手のスプラッタホラーで期待してはいけないだろうが、リアルだからこその恐怖と言う物もあるはずである。だが、ギデオン・ラフ監督は本作で色々な事にトライしたであろう。作家という事は知っているが、代表作は何かと聞かれると少々答えづらいが、映画監督としてきちんとホラーファンに観てもらえる作品にしようと努力をした感じがひしひしと伝わってくる様だ。

最後に、1980年の作品で、「テラートレイン」という同タイトルの作品があり、大昔に観た為内容はほぼ忘れているが、本作がリメイク作品と言う人も多々いる中で、こういう映画サイトでは触れておらず、どちらが正しいのかが分からない。

Mina