セントアンナの奇跡のレビュー・感想・評価
全26件中、1~20件目を表示
メッセージ色が苦手じゃなければ
無秩序とも思える戦争の前線において、
逆に黒人ならむげにあつかってもいいだろう、といった
白人側の都合のいい論理も存在した。
この映画はそんな中で、祖国アメリカのために、
遠いヨーロッパでドイツ兵と戦っている黒人兵士たちの話。
そんな極限状態ではたして人間は尊厳を失わずに
生きていられるのだろうか?
帝国主義に反発するイタリア人パルチザン、そしてドイツ兵、アメリカ兵、一般人。
国も人種も様々な人間たちが出てきますがひとくくりにせず
結局は個人個人の問題であると描かれているのは第三者的に見ても納得です。
たまに白人の観点から、黒人黄色人種を
文化も理解しない劣る人間だと描く映画もあるからね。
皆が一様に神に祈るが神なんかいるんだろうかって思ってしまう。
明らかなのは、死は誰の上にも平等に訪れるということだけだ。
メッセージ色が苦手でなければ、良い映画だと思えるものではないかと。
ラストに救いもあります。
んでもいまひとつスッキリしなかった。
スパイク・リーらしい一本
わかりやすくはない、という意味で。
表面上のストーリーはわかりやすいんだけど(実話らしいし)、
なんていうか……見終わったあとにつかみどころがない感じ。
アメリカ人の黒人兵が言った、
「イタリアにいたほうが、自分が自分でいられる。
イタリア人には人種差別という感覚がない」
というような感じのセリフと、
東京ローズのドイツ版がいたということが印象的だった。
戦時中、イタリアにもドイツにもアメリカにも、
それぞれいい人たちがいたんだっていうことを
描きたかったのかなぁ……。う~~ん。
救われたラストシーン
スパイク・リーの作品「マルコムX」が好きなので、この映画をチョイスしてみました。4人の黒人兵士と、少年との絆を描いた作品。あらすじは、自分好みで良かったです。でもこの話の流れは、タテマエとして、本筋は、人種差別の問題を描いた社会派映画かなぁって思いました。所々、宗教的なの要素も見られていて。
黒人がどのような時代背景でも、アメリカ人の心の中では、差別の第一人称であって、他の国の国民には、触れられる事が出来ない社会問題かもしれないけど、少し映画の中では、黒人への差別が前面に強く出すぎのような気がしました。
それからドイツ・ナチス軍の戦場での非情さも、そこまでは、さすがにないでしょう って思いました。民間人を容赦なく殺戮しまくったりして、その反面、4人の黒人兵士は、英雄扱いされすぎと言うか。人類史上において極めて重要な時代背景の話なんだから、ある程度は、真実にそって作ってほしかったです。映画の後半部分は、まったく理解不能な戦闘シーンで、見ていて気持ち悪くなりました。
でも、そんな気持ちを払拭してくれた 感動のラストには、大変に救われました。 色々な酷評もありましたけど、あまりないタイプの映画だったので、見て大変に良かったです。
戦争を舞台に描く人間ドラマ。1983年のニューヨーク。ある日、真面...
戦争を舞台に描く人間ドラマ。1983年のニューヨーク。ある日、真面目な郵便局員が突然、客としてやってきたある男を射殺した。その郵便局員は、第2次大戦時、黒人部隊“バッファロー・ソルジャー”の一員としてイタリアの戦線に送り込まれていたが、そこで出会ったひとりの少年との交流が、全ての謎を解く鍵だった……。
内容は人種差別
予想外の冒頭で、しかも訳が分からずに進み、終わった後にもう一回冒頭を見直してしまう映画です。DVDで良かった。
第二次大戦のイタリア・トスカーナ戦線がメインの舞台。
アメリカ黒人部隊は白人上官から碌な扱いもされないまま、戦闘真っただ中におとり同然に放っておかれた4人は、戦線に紛れ込んでいた少年を助け出し、ある村にたどり着く。負傷した少年を助けるためと、部隊本部と連絡を取るために滞在した村で、地元のパルチザンとの格闘や忍び寄るナチスドイツとの戦闘と、様々な事件が起こるが、一番印象的だったのは村の夜のパーティー。アメリカ黒人4人は村の人々が「対等に」酒を酌み交わしてくれることに、
「あの国のために戦っているのに、あの国にいるより今は自由だ」
常に白人との差別に悩まされていた日常とのギャップに感動すら覚える4人。
この話ではいろんな対立軸があるが、終始一貫してあるのはこの黒人と白人との「終わらない戦争」。スパイクリー監督ならではだなと感じる。
ラストは感動しますが、全体的に冗長で不要な演出も多い。冒頭の射殺も、結局4回見直したが、相手も分かり辛いし理由も不鮮明。
昔のあれが今のこれにつながってました、というのが好きな方にはお勧め。
少し長い(2時間半強)から気合が必要。
まあまあ
とりあえず全ての具材が生煮えで、味の方向性もボンヤリした創作料理のよう。
あらゆるプロットの回収が総じて雑な気がする。
なんだか総集編を見させられている感じがした。
以下意味不明と感じた点
仲間を直接殺された訳でもないのに、何故何十年も恨み続けられるのか。
身を守るために渡された拳銃で丸腰の相手を撃ったらダメでしょう。
しかも確認も無く、問答無用でいきなり撃ち殺すのは変じゃないか。
アメリカでは郵便局員は窓口に立つ際、常に銃を手元に置いているのか。
ジョンタトゥーロと、ジョンレグイザモの役柄が彼等である必要性。
アンジェロ自身が新聞を拾う必要性。
ドイツ版東京ローズのくだりは必要なのか。
小屋でドイツ兵を撃った際、近くで聞いていたビショップは何故すぐ駆けつけなかったのか。
眠れる男が怒るくだりがショボイ。安全な本部に連れて帰ろうとした黒人士官の首を締め上げるだけでお終いって。そもそも眠れる男を怒らせたのはドイツ軍じゃなかったの。
殺人の保釈金が200万ドル払えば即免罪って、アメリカの司法制度が問題でしょう。
以上、色々と書きましたがキャラクターや時代考証、多言語の使い分け、問題提起などキラリとひかる部分もちょくちょくあるだけにまとまってないのが残念な作品。
スパイク・リーも通俗的な監督となってしまった
「モ’・ベター・ブルース」など、中流家庭の黒人家庭を描いて、必ずしも黒人=貧困とは限らないことを示したり、「ドゥ・ザ・ライト・シング」のようなインパクトのある監督は、どこへ行ってしまったのであろうか?
どこにでもいる普通の監督となってしまったのは、とても残念だ。
奇跡
キリスト教色の強い映画だと思いました。人々が祈る姿とは対照的に、戦闘シーン・死体の映像が惨くて。個人的にはちょっと人死にすぎかなーと思ってしまいました(実際の戦場ではこれが現実なのでしょうが…)
「戦争」だけではなくて「人種差別」とか「罪」とか色んな問題がちりばめられていて、難しいというか考えさせられることが多かったですね;
とりあえず、夜中に見ると悲しくなる映画でした(´ω`)
それでも殺人は間違っている
顔に特徴があるわけでもないので、
現代と戦中の人の関係が良く分からなかったのですが、
それは狙いだと思います。
2人の顔がすぐ分かってしまうようだと物語の厚さが
全然変わってしまいますからね。
戦争は人間性も変えてしまいます。
良い人悪い人、国や信条と関係なくいろいろです。
チョコレートの巨人君ちょっと変わってるけど
一人最初から最後まで良い人でした。
最後がとても残念
現代では、どんな理由があろうとも、人を銃で殺害するのは犯罪です。
正直、ただの殺人者を金で助けるだけのエンディングはがっかりもの
それが刑務所の面会で再開というのであればもっとスコアは高くなりました。
人殺しは人殺しなんです。
奇跡はひとつではなかった・・・
160分という長さと虐殺シーンもある戦争映画だというイメージからかけ離れていた。ミステリー的な要素もあるおもしろさと観終わってしみじみとした気分になれる映画だった。スパイク・リー作品らしい、黒人であることにこだわった演出も垣間見えるが、それよりも「戦場のピアニスト」でも感じられた、その国民はみな悪者で、他の国民はみな被害者みたいな画一的な描き方ではなく、その国民にもいい人はいたし、他の国民の中にも協力者はいたのだという実際の様子に近かっただろう描き方がよかった。黒人兵のことはよく知らなかったので、今さらながらアメリカでの根深い差別を感じたし、イタリアでの解放感も意外で、実話をもとにしているとのことだが、本当にイタリアでは差別意識がないのかと不思議に感じた。加害者の名前をちゃんと記憶していなかったので、あの4人の黒人兵のうち誰が加害者なのかわからなかったし、途中でコーヒーカップを落とした人が誰なのか、持っていた拳銃は何なのか、最後まで興味は尽きなかった。久々にいい映画に出会えたなぁと実感した2時間40分だった。
最近になく、エンドロールの時間を楽しめました。。。
戦争、人種、虐殺、国、宗教等での人間本質の葛藤の部分を美味く料理してある映画のように感じました。エンドロールでこの映画をもう一度自分の頭で回想できる充実がありました。若干、戦争シーンがきつ過ぎかな。
久し振りに感動しました!!
スパイク監督らしい、黒人だけで無く、人種差別は良くないと訴えた映画でした。ナチスにも米兵でも、パルチザンでも悪い人もいれば、良い人もいる。
要するに個人の心次第で、人種を超えて仲良く出来るはずだ。少年の名がアンジェロ(天使)なんて、ラストの奇跡を示唆するようですね。しかし、主人公の黒人兵の生き残り方が、あまりにも不自然な描き方だった。でも、ラストは爽快な終わり方だった。
鐘の音で泣いた__D_F9D3__
ドイツ軍のセントアンナ橋爆破とセントアンナ大虐殺と米黒人バッファロー部隊の展開だけが史実(実際イタリア人に感謝されてるらしい)だが、戦争、差別、ヒューマンドラマ、ミステリー、オカルトとあらゆる要素がはいった映画だと思います。戦争映画で涙が出たことはなかったのですが‥最後のシーンとエンドロールの鐘の音が、戦闘シーンの鐘の音とダブります。二回観に行きました。長いので二回目は途中寝てましたが、見応えある映画だと思います。ラストの演技は二回目にじっくり見ました‥一回目はすでに泣いてよくみてなかったからです。1800円はお得だと思います。
答えは観る人それぞれの人生観
人間のちょっとした行動が、その後の運命を変えていく。偶然か、奇跡か、神の導きか? 第二次大戦まで遡って、その答えを探すのだが、けっきょく答えは観る人それぞれの人生観によって違ってくるのだろう。ただ言えるのは、過去において何かひとつでも欠けていたなら、今の自分はなかったということ。そういう意味では、無駄な出来事というのは無いのかもしれない。
いきなり現代のアメリカで旧ドイツ軍の9mmルガーP08による殺人と、行方不明だった彫像の頭部の出現で謎を呼ぶ。黒人部隊の指揮官にダメ人間を据える米軍本部はすなわち黒人を軽視していたという風刺や、ドイツ軍にも早く戦争を終わらせたいと考える将校もいたことなどを盛り込んで、160分という長さは感じない。だが、冒頭で出てくる記者が本筋にはまったく絡んでこない一本調子の語り口や、意識してのことかもしれないが古くさいカメラワーク、画面に合わない大仰な音楽がやや難。
郵便局員と撃たれた男の顔に特徴を持たせてくれたら、もっと話を理解しやすかった。(人物の現代と過去を直感的に結びつけられる工夫がほしかった)
戦闘シーンはけっこう痛い。視覚効果をILMが担当していたとは知らなかった。
人種を超える人の絆
スパイク・リー監督といえば、アメリカの人種差別問題や、社会問題の作品が多いように思うけれど、これは、同じく黒人を主役にしているけれど、少し趣向が違う。
イタリアの危険地域に派遣された黒人だけの部隊≪バッファローソルジャー≫の兵士4人が、ナチスとの最前線での戦いの様子が描かれている。
銃撃シーン。
爆撃シーン。
流血シーン。
思わず、目をそむけた。
そんな中での、黒人差別を知らない村人との交流と、不思議な能力を持つ少年との出会い。
少年が大男を「チョコレートの巨人」と呼んで、甘える様子は、とても微笑ましい。
上司命令に背くことなどできない。
でも、陰でこっそり子供を助けたりする。
そんな、組織に属する人間の辛さ、悲しさ。
それでも、個人の信念を貫こうとする者。
そして、それを貫く難しさ。
「差別」というものを、最初に教えたのは誰?
≪人はなぜ、21世紀にもなって、むごい戦争を繰り返しているの?≫
途中、少し長く感じるけれど、ラストの爽やかさは抜群!!
グッと胸に染みた。
デンゼル・ワシントン似のヘクター。
ヒース・レジャー似の新聞記者。
良かった。
ラスト!ジ~ンときました^^
S・リー監督の作品は、かなり凹むイメージがあるので
ある意味気合を入れて映画館へ・・・
ナチスの残虐行為に落ち込みつつ
アメリカ兵が黒人兵士を差別するのに悲しみつつ
それでもひとりの少年を一生懸命守り抜く姿に
心がとても助けられた感じです。
悲しくも切ないストーリーでしたが
ラスト!あぁ~そういうことだったのね・・・
決して悲惨なだけではなく、
人と人との絆を結ぶ心温まる戦争映画です。
ちょっと長かったけど観て良かったですね^^
7月30日MOVIX伊勢崎にて観賞
命の恩返し。
第二次世界大戦中のイタリアで、実際に起きた虐殺事件を
基に描かれたという本作。
S・リーが監督ということは、ただの戦争映画ではないだろうと
たぶん人種問題を必ず入れてくるだろうとは思ったが、やはり。
それにしても…こういった虐殺シーンを観るのは珍しくないが、
そこだけをメインに記憶してしまう作品が多い中、
今作は、あのS・リーがそんな映像を撮ったことに驚きつつも、
見事な(ややファンタジー的)人間ドラマに仕上げたことが凄い。
とくに冒頭の「?」が、ラストで線繋ぎで明かされるのは見事。
そして観た後の心持ちがまったく違うものになっていくことも。
単なる戦争虐殺映画とも、迫害人種差別映画とも、これは違う。
人間の命の重さ尊さを訴える人間が、昔だろうと異国だろうと
存在はしていたのだ。戦時中だからといって、それを軽視する
無能な者もいれば、隠れてでも全うしようとする者もいたのだ。
そういう事実を例えば今の世の中に当てはめてみて考えると、
今も変わらず周囲に存在していると感じることがないだろうか。
どの国の兵士もパルチザンも「早く家に帰りたい。」と口を揃え、
これはどこの戦争だ。誰のための戦争だ。と疑問を抱き始める
ようになると、ただ生き延びたい。と思うのは当然のことである。
憎むべきは、他国の名も経歴も知らない兵士や民間人でなく、
人を騙して兵器同様に遣い込む首脳戦犯たちにあるのだから。
時代が時代ゆえ黒人兵士には(兵士でなくても)辛い時代だった。
真っ当にそこを描こうとする監督の心意気は伝わる。
だが苦しんだのは黒人ばかりではない。母国で差別されてきた
人間の性を他国で焙り出そうとしても、その価値観はおいそれと
変わるものではないことも知る。本来共存するべき人間たちが
他を蹴落とし優劣を競い、果ては殺し合うというバカげた行為に
嫌気がさして終わらせようと動かなければ何も変わらないのだ。
…なぜ彼があの状況下で助かったのか。過去、そして現代も。
あり得ない行為があり得るのであってほしいという作者の願いが
あそこに集約されたのだろうと思った。
(Wジョンの出演には驚いた!とくにレグイザモ。名もあったのね)
付箋が回収されてゆく気持ちよさ
衝撃的な始まりから、過去の物語へさかのぼり、
数々の付箋を回収し、美しく終わりを迎える。
随所に大切な思いや言葉がちりばめられ、それがラストへとつながる。
「外国の方が自分でいられる」黒人兵たちが心通わせたイタリア人たちは
悲しい終わりを迎えるけれど、たった一つの救いが、心通わせた想いが、
また、戦争なんて終わってしまえばいいのに、と本心を浮かべるドイツ兵の悲しみが
ラストを作り上げる。
これはけしてハッピーエンドではないのだけれど、観た人たちは(自分も含め)、たくさんのことを考え、いろいろなことを得るだろうと思う。
しかし、やや長い。ちょっとつかれる。観る人は椅子のやわらかいシアターでどうぞ。
今年度前半ベスト1
正直、ありふれた戦争ものの映画だし、かなり長いので、絶対眠ってしまうと危惧していた。が、ストーリーは意外性があり、次はどうなる次はどうなると思いながら見ていたので、全然時間を感じさせなかった。地味な作品ながらとてもよかった。
全26件中、1~20件目を表示