アパルーサの決闘のレビュー・感想・評価
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この映画は黒澤明と小津安二郎が時々姿をみせるよ。
『先住民が居留地を脱走して、馬を盗んで逃げている』
『あんな女、初めてだ。俺が相手した女は娼婦か先住民の女だった。上品だと思ったら、男ならダレとも寝たがる』
以上、古い価値観を持った男臭いジョン・ウェインが登場しそうな西部劇。
そう見えそうだが、カメラのカットの仕方や設定を見て、この演出家は『小津安二郎』『黒澤明』のDNAが感じられる。少なくとも、セルジオ・レオーネからは影響を受けていると思う。
ネタバレあり
最後の主人公の行動はどうしてか?それだけでも想像が色々出来て緊張感がある。
偏見を込めた僕なりの解釈
これは男同士の愛情だと思う。
友情なんかではない。
まだ、演出家に対する先入観無しで断言する。素晴らしい愛の話だ。
僕は傑作だと思う。
男臭いTHE西部劇
エド・ハリス製作・監督・脚本・主演による本格西部劇。
日本では劇場未公開だったが、ヴィゴ・モーテンセン、レニー・ゼルウィガー、ジェレミー・アイアンズと豪華キャスト。
ハリス演じるバージルとモーテンセン演じるエベレットは放浪する雇われ保安官。ある町に雇われ、町を牛耳るアイアンズ演じる悪漢ブラッグと対する…。
画面いっぱいに広がる大西部の風景、保安官と無法者の対立、馬に乗っての追跡…どの要素も王道で、邦題も含め、往年の西部劇を彷彿させる。
ハリスもモーテンセンも武骨で男臭い。
このまま正統派路線で進んでいくのかと思ったら、一癖あった。
まず、ハリス演じるバージル保安官。有無を言わせぬ法の番人なのだが、独裁的でもある。やり方が強引であったりもする。西部時代のハリー・キャラハンと言った所か。
そんなバージル保安官、町にやって来たレニー演じる未亡人アリーと恋に落ちる。彼女と暮らす家を買ったりして町に腰を下ろそうとするが、このアリー、なかなかの尻軽女。強い男の下につく。また彼女が原因で、せっかく逮捕したブラッグを逃がしてしまったりする。
女にうつつを抜かす保安官。守られる未亡人が強か。ジョン・ウェイン西部劇にはなかった(ハズ)。
欠点がある設定が人間臭いと言えば人間臭い。
やがてブラッグはあるコネを使って町の実力者に。町に安住しようとするバージルは手出し出来ない。そんな時、エベレットがある決断を下す…。
ケジメをつけたエベレットの姿に、この映画の真の主役はエベレットだったと感じさせられた。物語の語り部でもあるし。
ラスト、一人去って行くエベレットの姿は、正真正銘の西部の男だ。
そして男はまた、当てのない放浪に出る。
ガン・アクションは控え目で地味な作風ではあるが、男臭さと西部の雰囲気に浸れ、じっくり見応えあった。
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