「勝っていたら大変な映画だったが。」おっぱいバレー Takehiroさんの映画レビュー(感想・評価)
勝っていたら大変な映画だったが。
『おっぱいバレー』(2009)
綾瀬はるかの売り出し中の頃だったか、話題になっていたと思うが、はやくも10年近くの歳月が流れた。青木崇高が出ているが、彼も今では大河ドラマに出演俳優である。ダメな男たちが目標のために成長する青春ものではあるが、それがバレーボールの試合に勝てば女子教諭のおっぱいを見せてもらえるという、かなりずれた目的なのだが、勝ってしまっていたらどういうストーリーにするしかなかったのかさらに難しかっただろうが、結局は勝利できず、綾瀬はるかがトップレスになる映像は無かった。しかし、生徒たちはおっぱいをみるのが目的だったはずが、いつの間にか、試合に勝つという純粋な理由に変わっていた。学校は女子教諭と生徒の約束を知って、女子教諭は学校を辞めることになってしまうが、それでも生徒たちを忘れることが出来ず、試合の応援に行き、生徒たちもそれから俄然頑張るが、相手校は強豪校で、実力差は埋まらなかった。それでも、生徒が2人しか集まらなかったという学校さえ出てきたり、それさえ変にリアルである。こんなに強度に性的に露骨でもないかも知れないが、思春期からの男性の想いは、女性への身体的特徴も含めて憧れでもあり頑張りにもなる。おっぱいというフェティッシュな側面が強調されると変というか、むしろコメディータッチになってしまったが、結局は女子教諭という女性全体への憧れと師弟関係であったし、女性教諭もやたらにアダルトビデオや風俗嬢のように脱いでもどうされてもいいような人物ではなかった。そこらへんのニュアンスは映画を観ないとわからない。女子教諭が元カレと再会したとき、ホテルに入り、キスはしてしまうが、(この映画では隠してキスしている風にみせている演出である)元カレが服を脱がせようとすると、女子教諭は生徒たちとの約束から、途中で断り、
私のおっぱいはみんなの夢なんだからというようなよくわからないような大事なセリフを発する。さらにその対比として青木演ずる男性教諭が誠実な男性だったりしているが。70年代の青春ソングが間に挟まれる。ラストにキャンディーズの『微笑み返し』の後に、エンディングソングがフィンガー5の『個人授業』のカバーである。中学校が舞台だが、女子中学生と露骨に性行為するような内容ではない。憧れのフェティッシュなところの部分が、ムードまでは演出出来ない時期や立場の中学生たちと女子教諭の交流話である。おっぱい、おっぱいと何度も音声として出てくるが、露骨なようで、抑えるところはしっかり抑えてある映画であり、それでも面白いしノスタルジックな映画であった。比較すべきは、中学生から10年かそこら経過して、元カレのように実際の女性の身体をベッドで求めようとしてしまうようなところだろう。女性が誇りを持っていれば、誰にも身体を露骨に渡すものではないというプライドがあれば、社会はもっと高度な感性を持つだろう。
そういう面では意外に性を尊いものとして描いている映画な感じもしたかも知れない。6人も男子中学生役者が出ているが、引退していたり、今のところ有名俳優にはなっていないようで、そういうのは高校生くらいの俳優からなのだろうか。女子中学生役の一人がようやく映画の主役を得たようで、10年近くかかったかと思うが、それも女性の尊さのように思えたりする。綾瀬はるかはそれから大河ドラマの主役さえ果たし、今も第一線だ。