「ズドンとくる加速感の表現が素晴らしい!R&Bでノリノリオシャレに楽しんじゃおうという感じの作品です。」ストリート・レーサー 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
ズドンとくる加速感の表現が素晴らしい!R&Bでノリノリオシャレに楽しんじゃおうという感じの作品です。
★★★★☆
スーパーカーや高級スポーツカーを惜しみなくクラッシュさせるすごい作品でした。一切CGを使わないで、驚異のカーチェイスシーンを見せつけてくれました。
ストリートレースを取り締まる警察に街中の路地に追い込まれても、階段や手摺りのうえすら、道なき道をするするとくぐり抜ける様は、圧巻です。
但し、こっちは先週『デス・レース』という殺し合い付きのカーレース映画を見てきたばかりなので、そのすごさが麻痺してしまってそんなに感じられなかったのは残念です。
イワノフ監督の作風は、すごくスタリッシュでポップ。全編R&BのBGMが絶え間なく流れる中、音楽に合わせて登場人物がスローモーションでダンスしたり、カット割りも音楽のテンポを意識したものとなっているのです。
ストリートレースでは激しく、センセーショナルなシーンが続きますが、あえてハードコアなロックでなくて、バックは常にR&Bでした。なので熱いレースとはちょっと距離を置いてオシャレに楽しんじゃおうという感じに仕上がっているのです。
すごくノリノリの映画なんです。
それと巧みな点では、レース中の加速感。各社には特別仕様のターボスイッチが装備されていて、そのスイッチをオンにしたとたん、タコメーターは振り切り、一気に新幹線並みの時速300キロに加速するのです。そのスピード感をうまく映像的に表現していました。
本作はただのレースバカ物語だけではありませんでした。レースの元締めドッカーは、ストリートレースを隠れ蓑にした、盗難車のロンダリングを計ろうとしていたのです。大がかりな計画には、警察幹部の関与も必要でした。
ストリートレースの話にドッカーの悪巧みが重なり、レース映画に厚みをもたらせています。
但し。割とあっけなく黒幕が見つかるところはもったいないと思います。もう少し引っ張って取り締まりを攪乱していくところを入れれば面白かったのに、残念です。
また元彼のドッカーと新たに恋するステパンの間で揺れるカーチャの葛藤もいまいちよく伝わってきませんでした。何でずばっとドッカーを切れないの。未練たらしく振る舞うの?っね。
カーチャーもスーパーカーを駆り出し、ストリート・レーサーにも参加して、男勝りのドライビングテクニックを披露する役なんです。そんな彼女を演じたカリーナ・アレクサンドリアは、とても目力が強く、スタリッシュな美女でした。
作品中でも、カーチャーに見つめられたら、ステパンでなくともドキッとしますよ。