「その心に響く空気に完敗」トウキョウソナタ わたぼうさんの映画レビュー(感想・評価)
その心に響く空気に完敗
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「僕ん家、不協和音」
2009年のたくさんある映画の中で一番気に入ったキャッチフレーズでした。
今や日本映画界に欠かせない存在になった名俳優の香川照之がリストラされた父親役で主演を好演し、母親役に小泉今日子。
端役ながら津田寛治や役所広司も出演している、地味だけどインパクトのある家族ムービー。
どこにでもあるような家族が次第にオカしくなっていく様を淡々と描いている。
父親は長年勤めた会社をリストラされたが家族には言い出せず、ハローワークに通ったり公園で配給食を受け取ったりして不本意ながらショッピングモールでフロア清掃の職に就く。
大学生の長男は有り余る熱意の矛先を見つけられず、米軍の外人部隊に志願すると言い出した。
小学生の次男は給食費をがめて内緒でピアノ教室に通い。
母親は軋む家庭から逃げ出して海に行った。
次々と問題が浮上して崩壊していく家族を、ある種のえげつなさを含んだリアリティで描く、奇跡も病気も特殊能力もない現代劇。
ミニシアター系ながら満足度120点の傑作!
なにより役者陣の演技が絶望感を漂わせるほどの圧倒感。
最後の、家族全員ボロボロの姿で食卓を囲むシーンは最高にキュートでした。
鑑賞劇場:高槻ロコ9シネマプラス
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