劇場公開日 2008年8月9日

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「ストレートな物語に関わらずメッセージは深い。」シティ・オブ・メン シモーニャさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ストレートな物語に関わらずメッセージは深い。

2009年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

興奮

幸せ

本作はデッド・エンド・ヒルというファヴェーラ(スラム)で育った、
アセロラとラランジーニャの成長を通して、友情や親子の絆を問う作品です。
ストレートな物語に関わらずメッセージは深い。

シティオブゴットが公開されていた当時、
ブラジルは未だ国際的に存在感が薄かったと思います。
今やワールドカップ、オリンピック開催に決定し、
世界中の注目を集める存在となっている。
2010年には、GDPが6%に達するだろうとも予想され経済的にも成長している。
そんな、国際社会の一員となったブラジルの別の側面を認識しました。
シティオブゴットの時には、ファヴェーラの知識は多少ありましたが、
どちらかと言えばフィクションとして捉えていました。
国が成長した現在、より深刻な社会問題として採り上げられた為、
よりリアリティを感じました。
時折、挿入されるデッド・エンド・ヒル上からの風景、
それがリオである事がリアリティを強調している。
住民とギャングがどんなかたちで関係を維持しているのか、
ファヴェーラがどれほど危険なのか、
直接は語られていませんがよく判ります。
鉄扉の銃弾痕から写した人のシーンは象徴的だと感じます。

スリリングな緊張感は、観る者を飽きさせない。
物語の展開も始まりから2人の固い絆が試されるシーンまで、
バラバラなストーリーが一揆に結びつく結末は、圧巻で先が読めません。
上手な脚本です。
過去に囚われた自分を解放し、大人へと成長していく2人を見事に描いていす。
最後にアセロラが息子に『自分の知っている事はすべて教える。』
と言う台詞にブラジルの未来を感じました。

シモーニャ