「福田麻由子の存在感が救い」ヘブンズ・ドア ダース平太さんの映画レビュー(感想・評価)
福田麻由子の存在感が救い
松本大洋のコミックを映画化した「鉄コン筋クリート」で高評価を受けたマイケル・アリアス監督だけあって、初の実写映画ではあるが、美しい構図や映像には見所がある。ただ、肝心の脚本にリアリティがなく、描くべきシーンを省いて物語が進んでいってしまうため、物語の中に入っていくことが出来なかった。
また、いくら主人公の2人が死を目前にしているからといって、彼らが巻き起こす迷惑行為と、それを100%正当化してしまう演出もいかがなものか。あれでは観客が登場人物に感情移入できないのではないと思う。オリジナル版はもっとポップで、それでいてキャラクターにちゃんと感情移入できたのだけれども。。
それから演技の面で言えば、長瀬はやはり大味。「タイガー&ドラゴン」みたいな作品では彼の演技もマッチするが、本作のように繊細な表現を求められる作品では、通り一遍等の彼の演技では厳しい気がした。その一方で、福田麻由子の存在感は素晴らしく、彼女のシーンだけ「映画」になっていると思えた。それが救い。結果的に、制作者の甘えが透けて見える雰囲気重視の映画に仕上がってしまった気がしてならない。
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