さよなら。いつかわかることのレビュー・感想・評価
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『愛する人の無事を願うもの』それが黄色いリボンです♥
大変に残念な話です。
バッグから撮られる黄色いリボンが気になりました。
但し、あくまでもアメリカの生んだアメリカ人に対する悲劇であって、イラク戦争の真実を知ると、アメリカ兵の5,000人近い戦死者に対して、イラク側は20,000人以上の戦死者を出しています。
反戦としてのアメリカ人の意義は分かりますが、この話が事実であっても素直に感動できる話ではありません。
残念な事ですが、彼女は自由と民主主義によって殺されたのかもしれません。
映画としては良く出来たオフビートな脚本と感じました。
原題『Grace is Gone』が黄色いリボンを象徴していると思います。そして、日本では、脱原発、脱原子力のリボンというのも少し好印象になりました。
但し、話を少し盛りすぎ。引っ張り過ぎると感じます。
娘に色々教える保守的な父親ですが、避妊具の事とかも触れて欲しいと感じました。勿論、近親相◯は駄目。
タバコはきちんと消そう。山火事の元。
ピアスなら認知されても、TATT◯◯はどうなのか?
【愛する妻をイラク戦争で失った夫が深い喪失感の中、幼い二人の娘と旅に出て徐々に希望を見出すヒューマン・ドラマの逸品。今作は、静かなる反戦映画でもあり、劇中のアコースティックギターが沁みる作品である。】
■陸軍軍曹の妻グレイスがイラクに赴任し、12歳と8歳の娘ハイディとドーンと暮らすスタンレー(ジョン・キューザック)。
母親を慕う娘たちとはうまく接することができず、ぎこちない日々を過ごす。
そんなある日、妻の訃報が届く。
彼は呆然としたまま、妻の死を娘達にどう伝えたら良いかわからぬまま、2人を車に載せて旅に出る。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・実に切ない物語であるが、スタンレーがハイディとドーンを車に載せ、小旅行に出る中で、彼が娘達と行った事が絶妙に巧い構成になっている。
最初、彼は叔母の家に行くが居らず、義理の弟のジョンがいる。ジョンはハイディとドーンとレストランに行き、スタンレーとグレイスの軍での馴れ初めを話すのである。
そして、
1.スタンレーが禁止していたピアスを許可し、二人が緊張しながらもピアスの穴をあけて貰い、ハイディはピアスを買って貰って付ける姿。
2.遊園地に行って、三人で遊ぶ姿。
3.車で農地に入り込み、円を描いて走る。
4.スタンレーはハイディと一箱煙草を買って、一本だけ吸う。咳をしながら・・。
5.ドールハウスに入って嬉しそうなドーンに”買おうか”と言うスタンレー。
・その合間合間に、ハイディは学校にしばらく休むと電話するが、事情が伝わっているのか、許可される。
更に、スタンレーは自宅に時折電話し、亡き妻グレイスの留守電を告げる声を聞きながら、妻が生きて居るかのように旅の話を報告するのである。
■そんな父の姿を見て、ハイディは徐々に事情に気付いて行くのである。
そして、スタンレーは海辺で、二人の娘にグレイスがイラクで怪我をした。”と告げるのである。このシーンは観ていて沁みる。描き方も、娘達の抗議と涙の声を徐々に小さくしていく手法が効果的である、哀しいが・・。
<そして、スタンレーとハイディとドーンは、グレイスの葬儀に出席する。三人の表情は穏やかである。
今作は、愛する妻をイラク戦争で失った夫が深い喪失感の中、幼い二人の娘と旅に出て希望を見出すヒューマン・ドラマの逸品である。静かなる反戦映画でもある。>
スッキリしない
母が兵士で、父が家庭に残ってるという設定じゃないとこの物語はなりたたないのは間違いない。だけど、もう少し娘との距離があっても良かったんじゃないかなと思う。こういう作品は最初に大きな拒絶がないと深みが出ないような気がする。
そして、肝心の葛藤する部分のエピソードが薄い上に少なく感じる。父がただ単に現実から逃げようとフラフラしている感じ。父に対して誰の助けも入らないのもなんだか残念(助けになりそうな人物はいたが)この葛藤の部分で正しい葛藤しないままラストに進んでしまう。
で、ラストは台詞があるにも関わらず無音という。葛藤の部分で娘たちも感づいてて、秘密が秘密ではなかったような展開であればいいが、今回のパターンなら最後に納得させるために何と言ったのかを観てる側としては知りたかったのに。
タイトルがいいですね
タイトルがイイですね。
原題の直訳どおりでしたら、
作品の与えるイメージや、
伝えたいコトが、変わってしまった気がします。
終わることのない
『中東vsアメリカ』の戦争が与えた悲劇。
悲劇なのに、イイと褒めるのも変ですが、
着想・設定に、関心をしました。
[兵士戦士=男性]
とのイメージが強いですし、多くの作品が
[戦争=男性]の設定で、話は進行していきます。
今作、兵士が戦死してしまうのが
最重要なファクターなのですが、
[兵士=子供の母親、主人公の妻=女性]です。
はじめての設定でしたので、
どのように物語が進んでいくのか、
もう最初の段階で関心が非常にかきたれられました。
小学校低学年、
小学校高学年、2人の娘を持つ父親。
母親は、出兵中で不在。みんな、
母親が無事、帰ってくるのを待っている。
長女が、イラク戦争のTVニュースを見ている。
それを見つけた父親が「見ないという約束だろ」と
叱る。当然、長女は母親が心配で見ているのだから、
それを理解してくれない父親にふてくされてしまう。
父親の複雑な本心を子供たちは、わかるはずもない。
本当は、子供たちのためにも、母でなく、自分が
出兵したかったこと。しかし、近視のため、除隊を
命じられてしまい、その願いは叶わなかったこと。
このシーン、かなり重要でした。
後半までに、何度か長女を叱るシーンが出てくるのですが、
父親との距離が、だんだんと近くなってくるのが、わかります。
それは、長女が、父親の愛情に気づくから。
実は、長女、不眠症でした。母がいない不安もあって、
眠れないんです。母性に、飢えていたのです。
父親、長女が、そんなことになっているなんて、
全く、気がついていませんでした。しかし、
一緒に旅行に行っているとき、次女は熟睡しているのに、
寝たふりをしているだけで、起きている長女の異変を
感じ取るのです。
2,3言、言葉を交わしたあと父は語りかけます。
「もし、また眠れないのなら、僕を起こせばいい。
また、一緒に話をしよう」と。安心した長女は、
眠りにつくのです。
こういった触れあいを、娘達と繰り返しながら、
お互いの距離が近づいていったのです。
すんなり行ったわけでもありません。
父親も、娘にどう接したらいいか、不安だったんです。
そんな時、父親は、自宅の留守番電話に電話をするんです。
留守番電話のメッセージ、
戦死した妻の声になっている。
まるで、生きている妻に相談するかのように
「今、娘と旅行しているんだ。キミが亡くなったことを
上手く伝えられなくて困っている。僕はどうすればいいんだい」と。
父親、長女の、様々な葛藤。
それの対比として、いつも無邪気で陽気な次女。
それがあったから、悲しい作品であるにも関わらず、
また、いつも母親が見守ってくれているような晴天に、
包まれていて、明るく温もりのある作品に仕上がっていた。
それが余計に悲しみを際立たせるのですが。。。
ラストシーンも、
前半のフリが、上手に生かされていて、
感動します。私は、落涙してしまいました。
「戦争」がなければ、このような悲劇は起きないわけで、
「戦争」があるからこそ成立する作品という事実が、
余計に、悔しくもあり、悲しいのですが、
「家族とは」について、深く感じ入る作品でした。
「お父さん、くさい」とか「あっち行って」とか
口もきいてくれない、なんて娘との接し方に、
悩まれている、お父様には、ど真ん中の作品だと思います。
いつかわかる真実。
名画座にて。
J・キューザックの演技を映画館で観るのが久々だったので、
あ~懐かしいなぁ…と思う間もなく、彼の風貌に圧倒された。
かなり太った?(役作りか)身体をのっしのっしと揺すりつつ、
両手は前に垂れ、やや疲れ切った表情で前のめりに歩く彼…。
いや~すごい。これだけでもう私は泣けてきてしまった。
彼が演じたのは元・軍人で、今はイラクに派遣されている妻を
待ちわびながら、娘2人を育てている父親。彼の過去に何が
あったのか、この時点ではまだ語られていないのに、すでに
彼は身体全身でその男を体現していた。。これぞ役者だー!!
おおよその内容は分かっていたけれど、冒頭で「よかった」と
言えてしまう作品に出逢えたのが、まず嬉しい…。
愛する人を失ったことがあるなら、なおさら。
そうでなくても、想像するだけでその哀しみは分かると思う。
私は経験者の一人なので、痛いほど彼の気持ちが分かる。
彼は、子供に妻の戦死を伝えられない。。
というより彼自身が、まだそれを受け入れる段階ではないのだ。
戦地へ赴いたのだから、もちろんいつそうなるとも分からない。
そんな状況だったとしても、やっぱり辛い。まさか…と思う。
彼の場合、子供を育てている状況だったから、
子供たちにどれだけ母親が必要なのかを痛感していたはずだ。
もしも自分が、妻の代わりに戦地に行けていたなら、
娘たちは母親とこの先ずっと生活出来たかもしれなかったのだと、
悔やんで忍び泣く彼が、この上なく哀しかった…。
突然、今までの厳しい態度から一転。セキを切ったように、
「娘たちを連れて遊園地へ行く!」という計画を立てた彼。
価値観の合わない弟(彼も重要)の反対を押し切り、出発する。
いきなり父親のテンションが上がったのにビックリする姉妹。
勘の良い長女は、だんだんと気が付いてくるんだけど、
父親が受け入れられないものを、娘が理解できるはずもなく…。
癒しの旅。を続ける彼らが辿り着く海で、やっと真実を迎える。
辛いことに向き合う勇気は、逃げることより遥かに難しい…。
だけどタイトルにもあるように(このタイトル、上手いと思った)
すべてが、いつかわかること。なのかもしれない。
これからの彼らに必要なものは「時間」なのだ。
ただもうひとつの真実は、彼らの愛国心や価値観が揺るぎをなす
とある戦争の実態を知った時、真に訪れるものなのかもしれない…
と思うと、母親の死をどう受け止めるかは、まだ続くことになる。
ひょっとして製作者側は、それを言いたかったのかな…とも思う。
(愛国心は、生命を大切にする人間愛の上に成り立って欲しい)
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