「既に「SAW」とは違う地平にいる」デッド・サイレンス FAC51さんの映画レビュー(感想・評価)
既に「SAW」とは違う地平にいる
「SAW」の第一作目を手掛けたジェームス・ワンとリー・ワネルコンビが、焼き直しかつ踏み台でしかなくなった「SAW」シリーズをさっさと他人に任せて、自身で監督脚本を手かげた完全新作。腹話術にまつわる不可解な連続殺人の謎に迫る内容だが、「SAW」とは打って変わって、今度は真っ当な心霊ホラーに。とはいえ、最後の最後にちゃんと「SAW」と同じどんでん返しが待っているんだよなぁ(笑)。また作品の世界観そのものがトリックの目くらましになっているのが、滅茶苦茶上手いというか、「ああ、この人たち分かってるなぁ」って感じ。「SAW」のナンバリングが、閉じた世界観と人間関係の中で「今度はどう騙すのか」ってところに躍起になってうだうだ停滞している間に、「こんなの思いついたけどやってみっか?」くらいの身軽さで、全然違う地平にたどり着いてるのね。こういう跳び方をする人は大好きだし尊敬します。
ただ、ストーリーの展開自体が下手というか、盛り上げ方が分からなかったのか、山も谷もなく進んで行くし、恐怖演出もありきたりすぎて全然怖くない。PS2のゲームの方が怖いくらい。中盤から後半にかけては若干辛い。もう20分くらい削って90分前後で勝負したら良い感じだったのではないかと。
というわけで「SAW」に飽きた人はさっさとこっち見てください。やっぱオリジナルって強いよねと思わせてくれる作品です。全然宣伝されてないのが可哀想。
コメントする