接吻のレビュー・感想・評価
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怖い
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一家惨殺事件の犯人トヨエツが逮捕される。
仲村が国選弁護人となるが黙秘を続けて何一つ話さない。
そこにトヨエツ同様に社会からつまはじきにされて来た小池が同調する。
小池は仕事を辞め、拘置所近くに引っ越して来て、面会を重ねる。
トヨエツも小池には心を開き、ついに小池の要望で婚姻届を出す。
その影響なのかトヨエツは仲村に事件について語り始め、控訴を決意。
結婚で何かが変わったと世間は好意的に報道するが、小池は逆だった。
真相を語らないのが社会への復讐なのだとか言い始める。
やがて拘置所の許可が出て、同じ部屋で面会できる機会が設けられる。
小池はそこでトヨエツを刺殺、さらに仲村まで殺そうと暴れる。
事なきを得たが、仲村は実は小池に恋心を抱いていて、弁護を申し出る。
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小池は結構演技が上手で、めっちゃ怖かったわ。
しかし拘置所内で刺殺ってのはありえんやろ、普通は。
仲村に渡したプレゼントの中にナイフが隠されてたんやが、
それを小池が仲村の鞄から取り出すのを見逃したのは意図的か?
終始マトモだった仲村がそうだったとしたら、いっそう怖いな。
3人殺した奴に恋(実際そんな純粋なものじゃないが)するのも怖いが、
そんなアブナイ女に恋する仲村もたいがいやわ。
1万円超えるタクシー料金は「万収」と言います・・・タクドラ用語
世間から無視され続けてきた女を描く。一家惨殺事件の起こる前、京子(小池)は同僚にタクシー代を持つから残業を代わってくれと頼まれ、翌日にはそのレシートを同僚に見せるが1万2千円超え。おいしい客だ~などと思っていたのも束の間、高すぎてもらえないと最初から覚悟していたみたいで、レシートを捨てちゃった・・・なぜかとても印象に残るエピソード(笑)。
テレビに映る坂口(豊川)の表情だけで自分と同じ人間だと理解する京子。差し入れを繰り返し、手紙のやりとりも始まった。事実だけは認め、後は黙秘を続ける坂口の裁判は死刑の方向に向かい、面会できるようになると、坂口との結婚を希望する。刑が確定すると面会できなくなるという理由もあったのだろうが、真意は衝撃の結末を考えればおのずとわかる。
とにかくユニークな設定だ。獄中結婚という話は聞いたことあるけど、死刑になることがわかってる男と一般人女性というのは超レアなことだろう。シンパシーなんて言葉じゃ喩えられないほど京子の深層心理は重いのだ。そして、坂口は人を殺しているが自分は殺していないという不釣り合いが、どこかで爆発するのだと予感させる。
終盤にはホラーの展開になるのかと思わせる。殺した家族の亡霊に悩まされる坂口。死体を前にバースデーソングを不気味に歌うのに対し、ようやく仕切りの無い部屋での面会を許された京子がそれを反復する。ああ、ここで初めて二人の共通項が揃ってきたかと思わせた途端、長谷川(仲村)に渡してあったプレゼントを開いて坂口の胸にナイフを突き刺すのだった。ここで“接吻”するんだろうと思っていたら、次は「一人じゃ死刑にならない」と長谷川に襲いかかるがナイフははずれ・・・長谷川に濃厚な接吻をする京子。
展開も見事だけど、接吻の意味がどうもわからない。謎を残したままいきなりエンディング、しかもエンディング時にタイトルバック「接吻」が・・・その謎といえば、終盤にじわじわと音楽が鳴り響く様子は『SAW』に似ていた!
はー、なるほど。
女優、小池栄子をしっかり見たことがなかったので気になって、凄いと評判のこのお話を見ることにしました。
小池さんが「全く共感できないから最初は断った」というのがよくわかるような内容。
役作りが本当に大変だったと思います。
人によって受け取り方も、テーマだと思うことも全然変わってくる映画だと思います。
それだけ色んな感情や問題が静かに描かれているのです。
主人公の京子はテレビで見た殺人犯に自分と同じものを感じてから生まれて初めて人生を謳歌しはじめます。
結婚さえもただの手段としてただひたすら一緒に死ぬという幸せに向かって。(坂口が死刑になる日に彼女は自殺するつもりだったんだろうなという私の見解です)
それは他人から見たら理解不能な行動ばかりで、自ら墜ちていってるだけにしか見えないけれど、
でもそれが彼女にとっての正義ですべてで唯一の幸せなので選択肢が1つしかない彼女は迷わないのです。
犯罪者に惚れる女、というとDV彼氏と別れられない彼女、みたいなニュアンスの酷いバージョンなのかなーと思ってましたが全然違います。
盲目で本質がわかってないわけじゃなくて、彼は私がついてないとダメだから…と自分に酔っているわけでもなくて。
だからといって純粋な愛だけかといったらそうでもない。やっぱり歪んだ愛。
彼女を包む闇(過去が気になります)の大きさを経験しないことにはピッタリあれを現す言葉は見当たらないままだと思います。
経験したところで自分ならああいう行動にでるのかもわからない。
もう十分すぎるほど問題提起してるのにこの映画はそれだけじゃない。
見終わって頭を整理してからやっと気付く、
これが三角関係の話だったことに。
「接吻」は多分仲村さんと小池さんか豊川悦司さんのどちらかがするんだろうなというのは予想がついてたのですが、
そうか、そういうキスか。
京子は自分を必要としてくれる、気にかけてくれる弁護士にも恋をしてしまった。
一方弁護士は京子を気にしていくうちに被告に嫉妬するようになって控訴させて二人の関係に溝を入れる。
奇妙で静かな触れることもできない純愛の水面下でのさらに静かな手を伸ばせば届く距離にいる純愛。
京子の最後のは「放っといて」は=「寂しい」だと思います。
見る度に新しい発見がありそうなこの作品は色んな人の感じたこと考えたことを聞いてみたいです。
噂の小池さんの演技はハードル上げすぎてて思ったほどではなかったのですが、記者たちの前で見せた笑顔だけは今でも忘れられません。
豊川悦司さんは台詞が少ない上に何を考えてるかわからないような坂口を見事に演じてました。
ほんとに考えさせられることがたくさんある映画です。
たくさんありすぎて頭がこんがらがってきますがw、観てみたらぜひコメントが欲しいです。
私たちが世間を無視して、何が悪いの?
映画「接吻」(万田邦敏監督)から。
小さい頃から、周りに無視され続けてきた男が、
殺人事件を起こす。
そして、殺人動機から全てに関して黙秘を続ける。
そんな犯人に親近感を覚え、ひと目惚れした女性の
破滅的な愛を描く異色ラブストーリーであるのだが、
結婚届けを出し、殺人者と夫婦になった時、世間は大騒ぎ。
どこに行っても、マスコミ関係者がマイク片手に追ってくるが、
彼女は、何事もしゃべらず、彼らを無視し続ける。
その時、彼女の口から発せられたフレーズが、
「私たちが世間を無視して、何が悪いの?」だった。
「今まで、無視されてきましたから・・」と淡々と続ける。
私は、その一言で「はっ」とさせられた。
いじめの中で「無視」が一番辛いことを誰もが知っている。
だから、みんなで無視して、いじめるのであろうが・・。
いじめられっ子の方から、無視されることは想定していない。
だから、今まで無視してきた相手から無視されると、
「何だそれ、おまえ、俺たちを馬鹿にしてんのか?」と大声を出す。
そう言うしか、おさまりどころがないからである。
出演は、豊川悦司さん、小池栄子さん、仲村トオルさんの3人だが、
ちょっと考えさせられる映画だった。
小池怪談。
名画座にて。
もうなんと言ったらいいのか…。すごい作品でした。
小池栄子の体当たり怪演技も見事なものでしたが、
昨今の猟奇的な事件を背景に考えると、
かなり観る者を震撼させる内容だったと思います。
怖い。哀しい。おぞましい。狂気。純粋。繊細。
そのすべての形容にあてはまる感覚。
でも総じて思ったことは、究極の愛というものに、
いかにも自分勝手で他を見下している怖さがあり、
自分に従わない人間を抹殺することも厭わない。
…それ、本当に愛でしょうか。
今作のヒロインは一見真面目で平凡、同僚から常に
残業を押し付けられてしまうような、お人よしな存在。
(…に、最初は見えるんだけど^^;)
自分は常に損をしていると、やたらネガティブ傾向の
言い換えれば自己意識の強い女性、多分心の奥では
いつか社会に仕返ししてやる。と念じていたんでしょう。
そんな彼女の前に無差別殺人犯・坂口の笑顔が
TVで映し出される。一目で同類(彼女は愛と言うけど)
と見抜いた彼女は、一方的に彼への愛を募らせる。。
獄中結婚に至る女性の心理、私には分からないけれど、
自分の中にある残虐性をその相手に見るんだそうです。
(ちなみに坂口のモデルは明らかに宅間守だそうです)
…もうこの時点でかなり怖いです(爆)
しかし、今作はさらに怖さが増していくのです。
そこいらのホラー作品より寒くなれるのは間違いなし。
坂口の弁護を担当する国選弁護人の長谷川(仲村トオル)
がこの二人に絡み、ほぼ三人のみで物語は展開します。
遺族側の想いなどはいっさい描かれません。
加害者側の心理背景のみが続く、めずらしい作品です。
無条件に自分を受け入れてくれる人間の存在を知って、
ここで描かれる坂口も、徐々に謝罪の弁を口にします。
ところが、そうなると彼女には許せない。その理不尽さ!
社会との接点を持つな?私だけを見ていろ?これって…。
えぇ!?と思うラストの展開も、どう捉えればいいのか。
タイトルの「接吻」が、実はここで判明するのですが…
三人の演技力(特に小池栄子)にもビックリしたけれど、
もっと考えなければいけない何か、を訴える作品でした。
やはりこういう事件を起こす背景に辿り着く何か、が
坂口兄役の篠田三郎の話を聞いていると、見えてきます。
いかに自分が不幸かを訴え、それを社会や他人のせいに
する無差別殺人事件を見ていると、原因を自分の中に
見出すことが出来ない人間の驕りや甘えが弱さに転じて、
だったら○○してしまえばよい!といういきなりの結論に
結びつけようとする強引さが、ちぐはぐな印象を受けます。
小さな子供が、自我を押し通しているのと変わらない…。
多分観客は、ややうっとうしい熱血漢の長谷川(失礼!)と
同目線でこの二人を追うことになるんだけど、こういう
口やかましい、おせっかいな他人が少なくなりました…。
自分以外の誰かのために親身になってあげられる人間が、
本当は今、一番大切な存在なのかもしれないですね。
(小池栄子の不気味な笑顔、夢に出てきそうで怖かったx)
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