「運命の指輪とならず。」あの日の指輪を待つきみへ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
運命の指輪とならず。
名画座にて。
往年の豪華なキャスト陣に、子役から成長した美人女優、
背後に横たわる戦争が巻き起こした悲劇。。と盛り沢山で、
飽きはしないつくりだったけど、想像したのとは違っていた。
どうもその(旧)ドリカム+1のお付き合い…っていうのがなぁ。
確かに若き日の彼女は美人なんだけど、その一番のお相手
との引き裂かれる恋愛がさほどこちらに伝わってこないのだ。
(やたらミーシャは脱いでいるけど^^;)
だから突然の訃報にも気持ちが入らず、どちらかというなら、
過去の責任にさいなまれ、、延々と墜落現場を掘り続ける
クィンラン(P・ポスルスウェイト)や、ジャック、チャックの
置かれた辛い立場の方がうんと胸に迫ってくる。
言い方は悪いが…かなり自己主張の強い女性を取り巻く
男たちの挽歌(汗)という感じ。愛する人を失った哀しみは
分かるが、人間はそれを乗り越えて次のステップを踏むのだ。
いくら約束とはいえ、好きでない男と結婚するのは間違いで
(時代が時代だから仕方ない部分もあろうけど)
それでも二人の間の子供は宝にならなければ…と私は思う。
久々に観たN・キャンベルの美しさもさることながら、
こんな態度の母親を見れば、誰でも怒りたくなるものだろう。
それでも…母親の味わった哀しみが果てないものだと知ると、
今度は新たな旅立ちを用意してあげるという、その優しさ。
この(父親にそっくりな思いやり深い)娘を産んだこと、
それだけでも母親には誇れるものがあるだろうに!そう思った。
別の視点で観ると、今でも続く?北アイルランドの恐ろしい
爆弾テロの状況が生々しく、もう一人の主人公ともいえる、
指輪発見の功労者(?)ジミーの周囲の緊迫感が何とも言えず、
これは社会ドラマだったのかと思えるほどだった。
ただそのおかげで、ますますテーマが散漫となり、
肝心の指輪がもたらす
「愛のドラマ」がいちばん物足りなかったというのが残念。
(私は、これからもずっと自宅で指輪をお待ちしております。)