「【音楽が物語を超えた映画】 」奇跡のシンフォニー abuさんの映画レビュー(感想・評価)
【音楽が物語を超えた映画】
この映画は、とにかく“音楽”。
物語よりも音楽の力が全てを制圧してしまうタイプの作品だ。
ストーリーには正直、無理がある。
ツッコミどころも多く、脚本の流れそのものを楽しむ映画ではない。
だが、中盤から後半にかけて、音楽が一段、また一段と深みを増し始めると――
そんな欠点は「無理が通れば道理引っ込む」という勢いでねじ伏せられていく。
そしてついに、映画史に残るレベルの“セッション”が始まる。
初めて会話を交わす親子が、まるで赤の他人のように距離を保ちながら、
音楽を通じて心を交わす奇跡のような瞬間。
そのシーンは、ただただ胸が震える。
ストーリーの粗さを凌駕するほど、音楽が強く、美しい。
俳優の演技も素晴らしく、観終わる頃には心が洗われたような余韻が残る。
公開から約20年。
いま、この映画に出会えたことが本当に嬉しい。
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