ママが泣いた日のレビュー・感想・評価
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ケヴィン・コスナー演ずるデニー・デーヴィスは元大リーガーという設定ですが、『フィールド・オブ・ドリームス』も『さよならゲーム』も関係ありません。
ウルフマイヤー家の父親がスウェーデン人秘書といきなり駆け落ちした!残された母と4人の娘はいったいどうなるんだと、ぐいぐいとストーリーに引きずり込まれました。母親テリーはその事件をきっかけに怒りっぽくなり、元大リーガーの男が彼女に近づいてくる。やがて長女は大学卒業と同時にできちゃった結婚することになるし、次女はラジオ放送局の男と仲良くなってしまうし、三女はバレエダンサーの夢を断念させられることになるし、末っ子ポパイのボーイフレンドはなんとゲイだった・・・など。
原題“THE UPSIDE OF ANGER”の通り、ポパイが学校の課題として「怒り」をテーマとしてアメリカの戦争や映画の暴力シーンに解説を入れていく伏線が面白い。デトロイト郊外の平穏な家族が父の失踪によって母と娘たちとの関係がギクシャクとしていく。その中で進路や自立心と積極的な恋愛感が、怒りっぽくなった母親にはもう手が付けられなくなっていくのです。怒りはやがて暴力を生み、それが解決するまで関係は修復できない。冷静になって考えることが大切であると訴えてきました。ただ、テロの報復なども盛り込もうと頑張っていた割には結論が見出せないという、アメリカそのものが内包する矛盾がそのまま家族ドラマに投影されていたような印象も受けます。
全編、下ネタが散りばめられ、微笑ましくなること間違いなし。気に入ったのは末っ子のボーイフレンドがゲイである事実と、バンジージャンプが好きなのに自分はできないというエピソードがとてもよかった。娘たちの中では、三女エミリーを演じたケリー・ラッセルがお気に入り。彼女は『M:i:III』にも出演してるし、これからブレークするのかも。それにしても、男たちは皆優柔不断ですねぇ・・・
【2006年9月映画館にて】
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