「予測不能のキム・ギドク」コースト・ガード kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
予測不能のキム・ギドク
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カン上等兵(ドンゴン)は血気盛んな兵隊。スパイを撃ち殺してやると燃えていた。顔には迷彩色で化粧して、持ち場を離れてでもスパイを撃とうと身構える。昼にレクリエーションを楽しんでる兵をよそに彼一人だけ畑に潜んでたりするのだ。誤射して殺してしまったカンは村人からも殴り蹴られるなどの暴行を受け、罪悪感から精神に異常をきたす。恋人を殺されたミヨンも精神がおかしくなり軍の近くで奇行を繰り返す。
通常業務不可能と診断され、兵役半ばにして除隊となったカン。しかし、彼の精神異常は重症で、軍服を着て舞い戻ってくる。隊の中でもミヨンと関係を持ったものが多数出てきて、彼女を妊娠させてしまう。彼女の兄も暴れるし、外には武装したカン上等兵。コーストガードもボロボロの状態となってしまう。
毎度のことながらギドク映画は予想がつかない。狂人兵士と狂人。いや、民間人だって、規則違反を犯したわけだから、罪がないとは言えないところがミソ。みんなどこか狂わせてしまう37度線。軍部批判とまではいかないけど、人を殺してしまうことの罪深さや正常と精神異常の境界線を絶妙なバランスに仕立て上げている。そして階級の差や、兵と民間人の境目。些細なことが発端となって、人間は常に狂ってしまう弱い動物だということがわかる。
ラストシーン。一等兵を殺そうと基地の周りをうろついているかと思われたカンはソウルの街の中で群集に囲まれていた。なんともやるせない・・・
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