風の痛みのレビュー・感想・評価
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チェコ語
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イタリア映画なのにフランス語?と、最初から戸惑ってしまいました。別にイタリア語がわかるわけではありませんが・・・後でわかったが、中盤以降はチェコ語だったらしい。
娼婦の母親にコンプレックスを感じ、逃げ出したくなる気持ち。名前をその父親の名前に変えてスイスの時計工場で働く孤独感。理想の女性“リヌ”を追い求めて止まないが、本人を同じ工場に見つけるまではなぜ理想の女性なのかもわからなかったという心の奥底。これらは、祖国を捨て疎外感をも味わいながら一縷の希望だけをもって細々と生活する亡命者の気持ちを表現しているのであろう。もっとも、殺人という罪悪感もあるはずだから、複雑な心の階層は見えてこない。そういえば、彼の創る詩には人間が登場しなかったような気がする。
毎朝5時にバスに乗って工場へ行く。時にはセラピーに通ったり、終点ターミナルまで寝過ごしたり、酒場で気軽にナンパしたりと、普通の青年と変わりはないのであるが、理想の女性を見つけてからは、皮肉屋になり人間不信になり、ストーカーのような真似もする。感情移入できなくもないが、彼の家に住みついた友人の目で見てしまった。
肝心な場面を観客に委ねるようなカットがあるおかげで映画らしくなっていて心地よいのであるが、ちょっとした“夢オチ”やちょっとした“どんでん返し”、そしてわけのわからない後追い自殺のおかげで評価が下がってしまいました。ラストにはイタリア語がようやく登場するのでホッとしました。
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