「とにかく喋る。台詞の量が半端ない」ノン、あるいは支配の空しい栄光 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
とにかく喋る。台詞の量が半端ない
ポルトガル軍侵略による戦争の歴史に自虐を込めて…。
世界最高齢監督マノエル・ド・オリヴェイラの『コロンブス 永遠の海』公開を記念してか、20年前の作品を急遽公開。
なんと予告編はおろか、パンフレットやチラシすら無い状態で、劇場には一枚の紙に印刷された作品紹介が緊急に置かれているだけ。
アフリカへ赴いた兵士達が、不毛な戦争に対して疑問を抱きディスカッションを行う。
「我がポルトガルは無益な敗北を続けて来た…」と。
紀元前からの戦いを、現代の兵士が語り合いながら、それぞれ過去の人物となって戦う多重構造になっている。
とにかく喋る喋る。セリフの量が半端無く多い。だから、時々字幕を読むのが追い付かなくて混乱した位だった。
更に多少の予備知識がないと、大量の歴史的背景には置いてきぼりを喰らい易い。
ポルトガルは侵略繰り返しながら一大帝国を築き上げて来た経緯が有る。しかし、栄光の陰には多いなる敗北が数多く有った。
老監督オリヴェイラは、それを“空しい”栄光として提示する。
但しスクリーンに映る戦闘場面のダラダラ感は筆舌には尽くし難いモノが有るには有るのですがね(笑)
最後、現代の戦闘に於いて叫声を上げ逃げ回る黒人兵士や、謎が解けたが死んで行く少尉の姿にこそ、戦争の無意味さが詰まっている。
(2010年4月21日岩波ホール)
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