「今見ると、んなアホなと思ってしまうが」セルラー alalaさんの映画レビュー(感想・評価)
今見ると、んなアホなと思ってしまうが
何故か好きな映画。
俳優の演技が良いし、スピード感があって飽きさせないが、脚本は結構グダグダ。
脚本書いたの「スリラー映画の巨匠」らしいよ。へぇー。
あらすじ:
教師のジェシカは、不動産の仲買人の夫と小学生の息子を持つ裕福な家で、いつも通りの生活を送っていた。しかしある日、見知らぬ男達が家に押し入り、家政婦を殺してジェシカを誘拐。事情もわからず屋根裏部屋に監禁されたジェシカは、壊れた電話の配線をどうにか繋ぎ合わせ、偶然繋がったライアンというチャラついた若者に助けを求める。最初はからかっていたものの、本当の一大事と知ったライアンは、自分が一家を助けることを決意する。
えー、助け呼ばねーの?と見てる間に何度も思う本作ですが、まぁ話の都合上だよねとしか言いようがありません(^_^;)
警察署で誘拐担当の部署に行けと言われたけど、携帯の電波が切れてしまうから上の階に行けないとか。「あとちょっとなのに!」って言ってるけど、あとちょっとなら携帯をとりあえず階段に置いて、目の届く範囲で上まで行って人呼べば良くない?
1階で暴動起きてて皆それに掛かりっきりで、階段には誰もいないから盗まれる心配もないし。
息子が攫われた時も、セキュリティに携帯渡して母親のジェシカから話してもらった方が話がはやいし。その間に自分は息子を攫った車を追えば良いし。
とにもかくにもキム・ベイシンガー演じるオカン、ジェシカが凄くて、教師だから知識もあり、機転も利く。犯人に凄まれてるのに、結構ギリギリまで家族を守るために嘘を吐くし、電話の音がバレないようにわざと大声で犯人に話し掛けたり、度胸も凄い。
上腕動脈切るシーンは痺れますね!
上腕動脈は背の高い人の方が目立ちやすいらしいんですが、更に言うと筋肉モリモリであればあるほど、血管は筋肉に押されて表に出っ張るので、切りやすいんですよね。
科学教師という設定ならではかなーと思います。医者でも良いけど、電話直すのは科学全体を学んでる教師だからかなと。
大抵、教師の設定のキャラが出てきても、そこまでしっかり設定を活かせてることって実はあまりない気がしますが、本作のジェシカは電話直したり動脈切ったり、なかなか知識が炸裂してますね。
医者や医学生の設定はホラーやスリラーでは割とありきたりで、自分含め誰かが怪我した時に縫合したり、もっとハードなのだとその辺にある物で輸血したりしてますが、教師の設定をちゃんと活かしてるのが良かったです。
中盤までは車をパクられる弁護士とか、アボカドパックしてる警察とかが出てきて、割とコミカルでまったりしたスリラー(というよりほぼ主人公のカーアクション)なんですが、ラストは一応命のやり取りになってくるので緊張感あります。
ちなみに元カノとの無意味な仲直りキスシーンは地上波だとカットされてましたw
まぁ、元カノに「貴方って本当に無責任で自分勝手で子供みたい」と言われた直後にジェシカから電話があったことで、人を救うために力を尽くし、漸くまともな人間になった、ということなんでしょうから、無意味ってわけでもないんですが…
でも見てる側からは「このシーンいる?」というくらい元カノほぼ出てきませんし、メインストーリーの中ではライアンの邪魔をするだけの鬱陶しいキャラでしかないから、カットされても仕方ないのかな。
あの内容で元カノとよりを戻す意味もわからないし。だって元カノはライアンが頼んだ仕事放り出して逃げたことしか知らないよね?
ライアンを見直す機会なかったと思うし、よりを戻す理由がないと思うけど。
ちょっとそういう細かい部分は突っ込みどころ満載です。金魚鉢割った後、ちゃんと金魚は救出してたり、そういう細かいところには目を向けてるのにね…
ところでこういう映画でありがちな、すんげぇ緊迫したシーンで突然知り合いが「おいお前どこ行ってたんだよォ!」とか話し掛けてくるアレ、空気読めないの極みだと思うんですが、あんなことある???
変な奴らに囲まれてるの見て、助けるつもりでわざとアホのフリして突撃してきてくれたなら勇気あるけど、大抵マジの空気読めない奴ですよね。
本作では空気読めない奴が結構出てくるので、ちょっと半笑いになってしまいました。まぁーあんな知り合い多い場所を指定するライアンもアホなんだけど。
個人的には吹替より字幕で見た時の方が面白かったです。何か吹替も、声優や台詞が前にテレビでやった時と変わったような。
ちなみに何年か前も今回も同じチャンネルの同じ番組で見ました。
DVDと地上波でも声優違うし、勘違いかな。
吹替だと何となく台詞が耳にうるさく感じ、特にジェシカやその息子がキーキー騒いでるのが耳障り。本人の声じゃないと演技の魅力も半減だし、ぜひ字幕をオススメします。
主人公のライアン役が、今となっては有名人のクリス・エヴァンスですが、この頃から結構この人の演技は好きです。
というより、真面目腐ったキャプテン・アメリカ役よりこういうチャラついた、ややアホっぽい役の方がハマってる気がするんですが…(100%悪口)
調子こいてる若者感がうまいんですよね。もう若くないので、そんな役はどのみち卒業なんでしょうけど。
この人は調子こいてる演技とガチ泣きの演技がうまいので、キャプテン・アメリカは180度今までと真逆のキャラだったから、本人にとってはかなりのチャレンジだったのではと思います。
キャプテン・アメリカ=クリス・エヴァンスと言われて全然違和感ないし、めちゃくちゃ格好良いんだけど、キャプテンが笑うシーンとか、ちょっと「いつもと違うキャプテン」の顔を見せようとすると途端に「笑ってるクリス・エヴァンス」になってしまって凄く気になっていたんですが、個人的には本作の方がそういうキャラブレの違和感はなく、ハマり役だと思います。
若かりし日のジェイソン・ステイサムも敵キャラで出てきますが、もう今の最強ステイサム感出てます。本作は2004年の映画ですが、この頃にはもう自分のスタイルが決まってたんですね。
受賞俳優として既に有名だったキム・ベイシンガーばかり当時は宣伝されていましたが、キムだけでなく、主人公のクリス・エヴァンスも勿論、敵役のジェイソン・ステイサムも、割と皆均等に出番があるので、この3人が好きな人は後悔しないでしょう。
ハラハラする雰囲気を楽しむくらいの気持ちで見れば、子供から大人まで誰でも楽しめると思います。
名作とまでは言わないけど、オススメします。