劇場公開日 2005年2月11日

「【韓国近代史をすこーしアレンジした、シニカルヒューマンポリティカルコメディ。出演する二人の韓国大統領は見れば分かるよね!単純だが、人の良い理髪師を若きソン・ガンホが、絶妙に上手く演じている作品。】」大統領の理髪師 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【韓国近代史をすこーしアレンジした、シニカルヒューマンポリティカルコメディ。出演する二人の韓国大統領は見れば分かるよね!単純だが、人の良い理髪師を若きソン・ガンホが、絶妙に上手く演じている作品。】

2024年11月19日
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鑑賞方法:VOD

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ー 最近、韓国の近代史の闇を描いた逸品「ソウルの春」を見たばかりだったので、面白く鑑賞した。
  韓国映画界の、自国の過去の負の歴史を映画にするパワーと作品のクオリティには、驚くばかりだが、今作のようなアプローチの映画が有ったとは、目から鱗であった。-

■粗筋
 1960年代の韓国が舞台。
 大統領官邸“青瓦台”のある孝子洞で理髪店を営む平凡な男、ソン・ハンモ(ソン・ガンホ)。美しい妻キム・ミンジャ(ムン・ソリ)とかわいい息子ソン・ナガン(イ・ジェウン)に囲まれて幸せな日々を送るソンだったが、ふとした事件を機に大統領の専属理髪師に選ばれたことで、政争の渦に巻き込まれていく。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・という内容だが、今作は彼の時代の大統領二人(名前は出ないが、観れば誰だか、直ぐに分かる。だが、名前を出さないのがミソである。)の理髪師になった男の目線で、彼の時代がコミカル要素満載で、且つ家族愛もふんだんに盛り込まれて描かれているのである。

・北朝鮮の思想を、”マルクス主義”と呼び、”下痢”をすると、その思想に染まったとして、連行されたりするシーンは、実にシニカルである。

・又、最初の大統領の側近同士の権力闘争なども、愚かしく描かれている。

・単純だが、人の良いソン・ハンモを若きソン・ガンホが、絶妙に上手く演じている。大統領の専用理容師に任命されても、真面目に仕事をする姿や、息子のナガンが”下痢”をしたために拷問され、両足が動けなくなった時には、”突然亡くなった”大統領の大きな遺影の眼を少し削り飲ませたり”(龍の眼を飲ませる”という事であろう。)家族愛に溢れているのである。
 そして、当時の韓国の体制も、この映画は物凄く皮肉っているのである。

<ラスト、ソン・ハンモが”新しい大統領の禿げた頭”を見て、手を止めて”髪が生えたら、又来ます。”(大笑い!)と言って、ボコボコにされながらも自宅に戻った彼は、息子も歩けるようになり、漸く幸せになったのではないかな。
 今作は、韓国の近代史を思いっきり揶揄しつつも家族愛を描いたシニカルヒューマンポリティカルコメディなのである。>

NOBU