春夏秋冬そして春のレビュー・感想・評価
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人生のループ、罪のループ
説明的なものは極力省かれ、というより最初からないかのような静けさの中に克服できない煩悩が、幼い時から人の心に宿り大きくなったり小さくなったりするようだ。ループして二巡目の春に遊ぶ幼児僧つまりほんとに小さい小坊主以外は、思春期僧、青年期僧、服役後の大人、二代目僧は皆違う顔、違う役者さんで、この人生のループ、執着は殺意を生むという煩悩、苦悩は繰り返しループし起こるもので誰に対してもそうなのだということだろう。自らが自分の全てを閉じない限り。
フラジャイルで美しいショットの数々
キムギドクの天才鬼才ぶりが発揮され
諸般の事情でキムギドク作品は見たらダメなのか、と少し逡巡するがやはり天才鬼才であるからには見たいと思う。
本作品通して音楽や効果音が全て鮮やかに、少ない言葉を引き立て盛り上げ力強く意味を与える。
猫のしっぽに墨をつけるところがまいった、、そこにキムギドクを感じた、悪いキムギドク。
キム・ギドクは凄い!と初めて感じた作品
春:深い山、湖の真ん中に浮かぶ小さな寺。老和尚と幼子が暮らしていた。幼子は小動物を捕まえては紐で縛り遊んでいた。和尚は少年に石をくくりつけ「3匹の魚、蛙、蛇のうち、1匹でも死んでいたら、一生心に石が縛りついたままだ」と言う。魚と蛇は死んでしまった・・・
夏:17歳に成長した少年。寺に養生にやってきた少女と恋に落ち、結ばれる。少女の病気も治り、引き離されることになるが、寺を抜け出すことに・・・
秋:10数年後、寺に戻ってきた男。愛する妻に裏切られて逆上していた。「人を殺めたからといって、自分を殺してはならない」という和尚。猫の尻尾で般若心経の文字を書き、それを彫らせることによって怒りを鎮める。
冬:出所し、寺に戻ってきた男。和尚はもういない。秘伝の書を見つけた彼は肉体の鍛錬に励む。そこへ赤子を連れた、顔を覆った女性がやってくる・・・
季節によって男の情感をたっぷりに描き、映像とともに心も揺れる。余計な台詞など一切ないドラマなのに、ここまで訴えてくる映画は少ない。目、口、耳に“閉”と書いた半紙を貼り自殺する様子。門外に出るときには必ず仏像を背負っていく姿、冬の章で石を体にくくりつける映像と小動物のフラッシュバックの対比が見事。輪廻転生のような寺の移り変わり。自然とともに寺が朽ち果てるまで何代も続きそうな未来にそれぞれの人生を重ねてみるのも面白い。
映像美
奥深い山と湖に囲まれた寺で生活する老僧と少年僧の人生の春夏秋冬を描いた作品。
少年僧が魚やかえる、蛇に石を結びつけて遊んだのを見て老僧が三匹のうち一匹でも死んだら一生心に石を抱えて生きると予言したとおりの生涯を少年は生きることになった。
夏で青年となり愛を知るようになった男に老僧が言ったのは、欲望は執着を生み執着は殺意を生む。
その予言も当たり青年僧は妻を殺すことに。
秋では妻への怒りと、憎しみを制御出来ず苦しむ男に老僧が般若心経を彫るように諭す。
そして老僧は1人に、なったあと閉とかいた紙を、目と口と耳に貼り船に薪を積み火をつけて自らの一生を終えた。
冬は服役を終えた僧が寺に戻り修行するがある日スカーフで顔を覆った女が赤ちゃんを置きにくる。
また春が来てかつての自分が魚やかえるに殺生したように預かった子が、カメにいたずらするのだった。
そうしてまた年月は重ねられてゆくのだ。
とにかく映像が美しく見入ってしまった。
蛇が時々現れる。蛇の持つ霊的なイメージがまたこの作品を秀逸なものにしたと思う。
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