劇場公開日 2004年8月7日

「50年代のアメリカ」モナリザ・スマイル kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.050年代のアメリカ

2021年1月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 まさしく女性の自立を謳った女性のための映画だ。“女性の理想はよき妻になること”という花嫁修業の場であるような大学において、恋愛・結婚・仕事において自由な考えを授業において教えようと意気込むキャサリン・ワトソン。現代の視点からすると、彼女が来るまでの大学が異常な風に映るわけだが、何しろ50年代の設定である。大学在籍中に半数が結婚し、残りも皆プロポーズを待つばかりといった状況なのだ。男の目からすれば、学歴も良い良家のお嬢様を嫁にもらうといったところであろう。

 学生の中ではジゼル(マギー・ギレンホール)の性に対して自由奔放な性格が面白く、彼女を配置することによって現代と過去の学生気質の違いをわかりやすく描いたのであろう。ジョーン(スタイルズ)は早くからワトソンに馴染み、教師の視点で思い通りの道を選ぶと思われたが、意外な方向へとストーリーが進む。しかし、ジョーン側からすると彼女は自由な選択をしたこととなり、ワトソンが教えた自立とは違うものの自らの意志を持っていたのだと思う(ここにはワトソンは矛盾を感じなかったのか?)。全体的にも、自由・自立を教えようとする割に、結局はワトソンの思想を押し付けて生徒を自分の思い通りにしようとしていただけのような気もして、納得がいかなかった。

 基本の筋は、ワトソンの恋愛、ベティ(ダンスト)との対立の構図となるのだが、この本線がつまらないのだ。全体の設定や脇の人物の性格の変化は面白いのだから、事件が起きるとか、もっとメリハリをつけるといい映画になったのでしょう。50年代の女性の価値観を学べたというだけだったかな・・・

【2004年8月映画館にて】

kossy