模倣の人生のレビュー・感想・評価

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5.0二重丸に花丸

2024年12月5日
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この頃のアメリカ映画を観ていつも思うのは、この作品は昭和9年に製作されていますが、映像技術が日本映画の昭和30年代に匹敵しています。逆に言えば昭和9年の日本映画は大正時代のチャップリンの初期短編頃の技術水準ですね。

さて、この作品も昭和初期とは思えないストーリー、場面展開、演出全てが大変よくまとまった現代でも充分鑑賞に耐えうる傑作です。

人種差別を主題にした初めての作品ですが、あからさまな表現は避けながら、的確に言うべきことは言う態度の演出に好感が持てます。

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越後屋

4.0娘たちよ、母の生き様を“模倣”して…

2022年5月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

この作品、驚くべきは主演の
クローデェット・コルベールなのだが、
この作品と同じ年にアカデミー主演女優賞を
得た「或る夜の出来事」や
セシル・B・デミル監督の
大作?「クレオパトラ」と3本の話題作にて
立て続けに主演を務めている。
この「模倣の人生」も含め、
31歳の彼女の絶頂期の3作品だったのだろう。

さて、同じ原作でも、
白人母の女優としての成功譚に
ウエイトを割いた「悲しみは空の彼方に」
との比較だが、
基本的に「模倣の人生」の方が、
白人母があっさりと事業に成功する分、
出自に苦悩する娘の、
正に「模倣の人生」的行動に起因する展開に
重点が置かれているイメージだ。

また、白人母の同じ成功譯としても、
女優とパンケーキ業という基本的な違いが
あり、
「悲しみは…」では黒人母は
最後まで白人宅の家政婦だが、
この作品では陰ながらではあるが
パンケーキ会社の共同事業者だ。

他にも白人母を愛する男性の職業も
カメラマンと魚の研究者と違いがあったが、
「悲しみは…」で気になった
10年に渡る彼の長い思慕の念に
なかなか理解が及ばなかったのだが、
「模倣…」では白人母の成功後の登場なので
違和感はなかった。

また、白人娘が母を愛する男性に
想いを寄せることによって母の恋が
成就出来ない結末は、
「悲しみは…」でははっきりとは描かれない。

しかし、母との抱擁の際の混血娘の
口の動きだけで「ママ」と呼ぶ場面と、
黒人母の臨終での独白のシーンは
圧倒的に「悲しみは…」の方が感動的だ。

ところで、「悲しみは…」で違和感のあった
ラストの壮大な葬儀のシーンだが、
「模倣…」ではこの理由が
詳細に説明されていたので
こちらの方が理解し易かった。

私は、基本的に監督にウエイトを置いて
映画鑑賞するタイプなので、
同じ監督作品を続けて観ることは
まあまああったが、
最近「若草物語」の4作品を続けて観たり、
この同じ原作の2作品も
比較的近い間隔で鑑賞出来、
同じ原作物を比較して鑑賞する面白さも
感じ始めている。

さて、題名の「模倣の人生」の意味は、
混血娘の想い以外に
どう意味付けられているか解らなかったが、
黒人母の誇りと覚悟に満ちた人生、
恋人よりも娘の幸福を優先に
人生選択する白人母、
この2人の生き様からは、2人の娘たちに、
是非、母親の生き様を“模倣”して
生きて欲しいとのことなのだろうか。

ところで、この作品では、
事業に成功した2人の母が住む豪邸の
それぞれの住まいのある階に行くのに、
階段が映る同じ画面上で、
白人母は2階へ、
黒人母は地階へ、
と描くのは、白人の無意識な優越意識を
監督が問題提起しているのか、
とても意味深なシーンに感じた。

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