ワンダラーズのレビュー・感想・評価
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人種間の闘争を描いたアメリカ映画らしい青春群像
アメリカ映画における青春群像には、一種独特な雰囲気と形式がある。それは、身分的にも経済的にも区別された様々な人種の混合体と言える。それ故同じ人種のグループ化、その仲間意識が強ければ強いほど対立を生み、トラブルから闘争欲も刺激され社会問題化する。それを映画で表現するには、まず力強いタッチが必要だ。改めてこの作品を観ながら、そのことを思い、結局それがアメリカ映画の面白さのひとつなのではないかと考える。同一民族の日本ではあり得ない文化の複雑さがある。しかし、映画の中身にその表現の力強さは感じなかった。主人公を演じたケン・ウォールという新人俳優にあまり魅力が無いのが致命傷。彼と婚約するデスピー役の女優と恋人ニーナのカレン・アレンの存在感も弱い。青春映画のキャスティングは、演技力以上に俳優に魅力が無いと生きない。監督のフィリップ・カウフマンも初めて見るが、映像はシャープでアメリカ映画らしい演出タッチ。前作「SF/ボディ・スナッチャー」は一部で好評を得たが観ていない。ケネディ暗殺の時代背景のノスタルジーの青春群像劇。
1980年 5月25日 銀座文化2
1963年のブロンクス
1963年のブロンクス、高校にはいろんな不良グループがいた。
主人公はイタリア系グループで、黒人グループと対決することに、アメフットで。
中国人グループもいるが、最も不気味なのが野蛮な暴力グループで殺人も平気。
親の世代も描き、当時のニューヨークに住む貧困層が抜け出そうとする様子が痛々しい。
一つの時代の終焉
人種毎に分かれて形成されるニューヨークの下町ブロンクスの不良グループが、皆同じ高校に通う学生たち。
例外は紅一点?なリンダ・マンズ率いる?スキンヘッド集団ボルディーズとゾンビみたいなダッキー・ボーイズなど、魅力溢れるグループの中でもやはりお揃いのジャケットが最高にイカしているワンダラーズが格好良い。
ケネディ暗殺とラストにはボブ・ディランらしき人物が、仲間との別れにいつまでも馬鹿をやってられない青春時代の終わりと、古き良き時代から新しい文化が始まろうとしているアメリカ。
50'sなスタイルでロックンロールとオールディーズが流れる中、揺れ動いた女性が行き着く先には新しい文化と時代が流れる場で、ただ見つめるだけな戸惑うリッチーが印象的。
次に"The Beatles"が現れる正しく60年代の始まりに戸惑うばかりのリッチーが思い起こされる。
ワンダラーズよ、永遠に......口笛を吹け!!!!
肌や色の違いなんて関係 あった頃…
1963年のアメリカが舞台となっています。
制作は70年代後半なので、
その頃からしても、”古き良き時代”を描いたのだと
感じられます。
人種によって派閥が分かれる中で生まれる友情や、
淡く切ない恋愛など、
ノスタルジー溢れる物語でした。
この映画の1番の見どころは、
60年代を象徴する音楽です。
ミュージカルかってくらい流れます。
でもそれがいいんです。
あの時代を生きた彼らだからこそ、
あの曲をバックグラウンドにかけられる。
ちなみに、
ワンダラーズとは、放浪するといった意味で、
今で言うバックパッカーでしょうか。
主役はリッチーですが、
ワンダラーズというタイトルからすると、
他の仲間たちのほうが合います。
ですが心情で言うと、
やはりリッチーはワンダラーしてますね。
ブロンクス・グラフィティ
フィリップ・カウフマン監督の1979年の青春群像劇。
同監督と言えば『ライトスタッフ』『存在の耐えられない軽さ』など大作のイメージが強く、キャリアを見渡しても青春モノは本作一本。その分、思い入れがある作品かもしれない。
1963年のブロンクスを舞台に、それぞれ不良グループに属する若者たちの抗争や恋愛。
話的には他愛無い。
先日見た『マイ・ボディガード』のようなメインとなるドラマにも乏しい。
が、見るべき点もある。
イタリア系、ユダヤ系、黒人、中国系…。
様々な人種入り乱れる若者たち。
多くの人種を受け入れたブロンクスという町だから描ける青春作。
特筆すべきは、音楽。
60年代のヒットナンバーが耳に心地よい。音楽に疎い自分でも知ってる曲がいっぱい。
中でも、フォー・シーズンズの曲に胸躍った。
こればっかりは『ジャージー・ボーイズ』を見ておいて良かった。
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