劇場公開日 1934年11月22日

「【小津安二郎監督が描き出す旅芸人の座長が愛人に産ませた子を思う気持ちと、旅芸人一座の人々の善性溢れる作品。小津監督はトーキーの頃から凄い監督だった事が判る作品でもある。】」浮草物語 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【小津安二郎監督が描き出す旅芸人の座長が愛人に産ませた子を思う気持ちと、旅芸人一座の人々の善性溢れる作品。小津監督はトーキーの頃から凄い監督だった事が判る作品でもある。】

2024年2月19日
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■興行で小さな田舎町を訪れた旅芸人一座。ここには座長・喜八の昔の女・おつねと息子の信吉が暮らしていた。一座の看板女優で喜八の愛人・おたかはおつねと信吉に嫉妬し、若手女優のおときに信吉を誘惑させる。だがおときは次第に本気で信吉を愛し始める。

◆感想

・瑕疵なき、人間の善性溢れたストーリーである。

・戦後、小津監督がこの作品を「浮草」としてセルフリメイクした事が良く分かる程、お気に入りの脚本だったのだろう。

■小津監督は、戦後の「東京物語」を始めとした家族愛、親子愛をローアングルの固定カメラで撮った諸作品で名を上げたが、今作を見ると戦前からその萌芽があった事が良く分かる。

<ラストシーンも良くて、若手女優のおときに信吉を誘惑させようとした一座の看板女優で喜八の愛人・おたかに対し、一座を解散した喜八が掛けた優しい言葉。
 又、その前に喜八が本当の父だったと告げるおつねが信吉に、如何に喜八が信吉を思っていたかを告げるシーンや、喜八がおつねに”おときと信吉を頼む”と言って、一人去るシーンなどもとても良い作品である。>

NOBU