「小津安二郎監督の最高傑作の一本‼️」浮草物語 活動写真愛好家さんの映画レビュー(感想・評価)
小津安二郎監督の最高傑作の一本‼️
やっぱりいいなぁ〜「浮草物語」‼️私は30年くらい前に初見して以来、「晩春」や「東京物語」もいいんだけど、このサイレント映画の名作に愛着があるんですよね〜‼️ 1933年製作の「出来ごころ」(これも名作!!)に続き、坂本武さん演じる喜八を主人公にした一編です‼️今回の喜八は旅回り一座の座長。一座を率いた彼が、昔、自分が男の子を生ませた女おつねのいる信州の町に興行に行く。現在の愛人である女優おたかがやきもちを焼いて、妹分の女優おときに喜八の息子・信吉を誘惑させるが、若い二人は本気で愛し合うようになる。やがて信吉はおじさんだと聞かされていた喜八が実の父だと知る。喜八はおたかと一緒にまた汽車で去っていく・・・この作品も後期の小津作品と同じくテーマは "親子" ‼️そんな親子関係話を重くしないようコミカルに人情味たっぷりに描いております‼️まず登場人物たちが全て魅力的というか、いい人ばかり‼️ちょっと頼りないが人情に厚い男・喜八‼️おつねは旅先から絶えず仕送りをしてくれていた喜八に感謝している‼️おたかも喜八を愛すればこそ‼️おときも信吉を最初は「あんな子供なんか」と馬鹿にしていたが、本気で愛するようになる‼️なんか、みーんな微笑ましくて愛おしい‼️冒頭、喜八がお灸を据えられ、おたかが「もっとお灸を据えておやりよ」と言うシーンも、その後の物語展開を暗示していて秀逸‼️「生れてはみたけれど」にも出ていた名子役・突貫小僧の猫の貯金箱のエピソードもコミカル‼️そしてサイレント映画特有の字幕表現もリズミカルで、まるでアクション映画のようにあっという間の1時間30分‼️不景気な時代を頑張って何とか暮らしている人間たちの温かい人間関係や、しがない旅役者の人生の哀歓が胸にしみる名作です‼️小津監督は「晩春」「麦秋」「東京物語」で大成したと言う人が多いですけど、私的には戦前の「生れてはみたけれど」やこの「浮草物語」ですでに大成している‼️恐るべし‼️