「何故カインはアベルを殺した?殺しは殺し。末路は死刑です。」冷血 マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
何故カインはアベルを殺した?殺しは殺し。末路は死刑です。
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音楽がチャールス・ミンガスのピテカントロプス(直立猿人)みたいだと思ったら、クィンシー・ジョーンズだった。やっぱりね。
『絞首刑は復讐だ。復讐の何が悪い。俺も復讐してきた。だから、死刑に賛成さ。殺されるのが俺でなければ』
原作を読んでこの映画を見た。ほぼ原作通りだと思う。事件は1959年だが、死刑執行は1965年で、映画は1968年。朝鮮戦争の話が出てくるが『反ベトナム戦争運動との関わり』はあったのかと考察する。
DVを冷血漢になった理由にしている。それは『DNAの解釈』から現代では一般視されている。しかし、原作が1965年だと考えるとかなり進んだ解釈だと思う。
さて、映画は被害者側の状況を一切語らず、全編、加害者の言い訳に徹している。その点が、原作からの脚色が無く、大変に共感を得た。
また、映像面で、ペリーが神父に父親との関係を話す時、街灯が雨だれを通して、犯人の顔にプロジェクションマッピングの様に光が流れ、まるで泣いているような演出を施していた。
これこそアメリカン・ニューシネマだと思うのだが。
さて『ティファニーで朝食を』の作者には思えない原作者だが、『ティファニー』のホリー・ゴライトリーは、この『ペリーとディック』と真逆の立場で、自由そのものの女性だ。つまり、この二人は、カポーティに取って、社会に拘束された『男』じゃないのかと思った。
村上春樹さんの『1Q84』と『アンダーグラウンド』はカポーティの二作をリスペクトしていると感じた。
原作もこの映画も傑作だと思った。
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