旅愁(1950)のレビュー・感想・評価

全3件を表示

4.0劇中二度ほど歌われる印象的な歌は単なるナンパの歌では無かったのです

2025年3月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

旅愁
1950年米国映画、白黒作品
原題は「9月の出来事」

ヒロインは、ジョーン・フォンテイン
出演時33歳
ヒッチコックのレベッカは23歳、断崖の時は24歳でした
まさに人生の真夏は過ぎて秋にさしかかろうとしています
しかしまだまだ美しい!
むしろ落ち着きが加わり大人の女性としての美しさが増しています

相手役はジョゼフ・コットン
出演時45歳
市民ケーンやガス燈、第三の男などに出演してきたシブいオジサマ

お話は直球ド真ん中のメロドラマです

ヒロインはイタリアにピアノ留学中の米国人、ピアニストとして人生の夏を捧げてあともう少しで成功を掴もうしているのだけれど、人生の夏をそれに捧げ尽くしてしまいやっぱり寂しい
男は、技師とはいうものの後から分かりますが実は大会社のオーナー社長で、かなりの金持ち、何年も仕事づくめで仕事にも家庭にも疲れ果てた男で妻とは離婚協議が難航中
この二人が、米国へ向かう途中とイタリア旅行中にひょんなことから偶然知り合って深い仲になります
そして遊び過ぎて乗り遅れた帰国便が実は墜落していて世間から二人は飛行機事故で死んだ事になっていることに数日後に気がつきます
そうなれば、もう愛は盲目です
風光明媚なナポリの高台に二人の邸宅を買い、生きている事を知られぬように二人の愛溢れる生活を始めてしまいます

でもそんな生活は長くは続かず、男の妻と立派に成人した息子がそこに現れます
終盤ナポリを去る二人の男女の邸宅にさよならをいいに来る近所の子供たちの身長がそう変わらない所を見ると結局二人の生活は1年も無かったようです

夫が生きている事を知ってなじるどころか、神に感謝する妻の健気さ、愛の深さに心を打たれます
怒る息子も父の顔を見ると全てを許してしまっています
劇中二度ほど歌われる印象的な歌は単なるナンパの歌では無かったのです

その歌詞は「♪9月11月~」でした
男の家庭は11月の晩秋だったのです
人生の大きな実りがなっていたのです
神に感謝するほかありません

女の人生の季節ははまだ9月になったばかり、1年ぐらいの過ちは
何とでも取り返せます
むしろ早く終わりが来て良かったのです
彼女には11月の晩秋になっても収穫する実りは何もないのですから
それに彼女は気がついているからこそ二人の生活で幸せ一杯のはずなのにイライラすることがあったのです
ラストシーンはきれいなお別れです
これ以上ズルズル引きずっては美しい思い出にすらなりません
新天地での彼女の大成功と幸せを掴むことを私も祈りました

美しいイタリアの風景がタップリあります
ローマからはじまり、ナポリ、カプリのなど観光して来たような気になる楽しさも満喫できます
白黒作品なのが本当に惜しいです
本作品の5年後の1955年にデヴィッド・リーン監督がワイドカラーで撮った旅情という作品があります
本作は旅愁なのでよく混同されがちです
原題もSumer time で舞台はイタリアベネチア、本作を凄く意識した作品だと思います
内容も少しだけにているような全然似てないようなです
是非、こちらもご覧なさって下さい
本作にグッと来た方にお薦めします

コメントする (0件)
共感した! 1件)
あき240

4.0ナポリ、ポンペイ、カプリ、ベスビオ火山。観光地の映像だけでもカラーだったらなぁと思う。

2021年8月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 帰国を早めたのは離婚したかったからか、そうでなかったのかを確かめるためにイタリアまでやってくる妻と息子。マニーナの写真を見て、父が生きていると確信する息子。あれほどまで離婚拒否していた妻キャサリンも潔くあきらめる。その二人の潔さと優しさが心に染み入るように訴えてくる。マニーナのコンサートを真剣に聞き入る息子デビッドもいい。

 すべては人生の休暇だった。キャサリンだって捨て身技を使って優しさを表現できたし、離婚劇だったはずなのに、なんだか優しい人だらけ・・・それでも音楽がいいし、心理描写が豊かなので結構好きな映画だ。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
kossy

3.0旅先の恋は儚くおわる

2020年5月10日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

独特な物憂い映像美とジョーン・フォンテインのしっとりとした美しさ以外特徴のない映画。煮え切らない男と女の恋の結末も、「カサブランカ」の類似を試みたけれど、スッキリしていないので印象に残らない。ウイリアム・ディターレの演出より脚本自体の出来が悪い。ヨーロッパロケが目的の観光映画と勘繰ってしまう。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
Gustav
PR U-NEXTで本編を観る