「このドタバタ感のバイタリティに圧倒される」ユーズド・カー 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
このドタバタ感のバイタリティに圧倒される
80年、スピルバーグに近しいジョン・ランディスが撮った「ブルース・ブラザーズ」と同じ年に、同じくスピルバーグに見出された逸材ロバート・ゼメキスが撮った監督作。初期作ゆえの青さや未熟さを覚悟して紐解いてはみたものの、結果的に目を見開くばかりの面白さと役者陣のバイタリティ、そして隅まで詰まった遊び心に関心しっぱなしだった。少し先の未来、80年代の終わりになって、ゼメキスが「BTTF」シリーズを世に放つことを考えると、車をモチーフにしている点で共通性が高いし、冒頭の浮遊しているかのような看板代わりの車両にもデジャブ感を覚える。さらにはクライマックスにおびただしい数の車が荒野を激走する趣向には、どこか「PART3」の一場面を思い起こさせたりも。ハイウェイを隔てた2つの中古車販売店がやりあう競争原理、資本主義をテーマに、これら社会的な要素を素っ頓狂なコメディにまで昇華させていく才気は今見ても鮮烈だ。
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