「名前のない記憶」柔らかい殻 chiliさんの映画レビュー(感想・評価)
名前のない記憶
少し前にワイエスの展覧会を観たばかりなので、その風景が動きだしたように見えました。
でも、ストーリーには何も関係なく、歪んだ小屋、傾く屋根、湾曲する壁…?自分の目がおかしいのかと疑ってしまうほどのかすかな歪さがある画面。
子供のころの記憶や印象、思い込みがどれだけ不確かなものかをあらわしているのでしょうか。不自然で耳障りな音楽もわざとなのかな…?
ラストのできすぎた画面構成も、なんだかイヤ〜な後味を残し、それが意図的であるならほんとうによくできてると思います。
自分にもあり得ない辻褄のあわないような昔の記憶があります。誰もがもっている、名前のない記憶のスペースを掻き乱されるような映画でした。
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