「「裁きは終わりぬ」は素晴らしかったが」眼には眼を KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
「裁きは終わりぬ」は素晴らしかったが
こういったリアリティの欠如した映画は、
劇中に入り込むことさえ難しく、
好きにはなれない。
復讐劇との予備知識で観たが、
そうとすると復讐者の行動が
余りにも不可思議で、
途中からひょっとしたら、
これは主人公が復讐と思い込んだ
幻想のドラマかと思ってしまった。
しかし、
結局は予備情報通りの復讐劇だった訳だが、
余りにもリアリティに欠けていないか。
医師を逆恨みするのは、
そもそもが冤罪に過ぎないし、
どんなに妻を愛していたとしても
娘や両親を残したまま、
己の命の危険を冒してまで、
このような行動に出るだろうか。
また、こんな復讐劇に至らなくとも、
この地に精通している彼なら、
いくらでも復讐の方法は有ったはずではないか。
人が人を裁く問題をテーマにしたという
アンドレ・カイヤット監督だが、
個人的復讐劇に過ぎないこの映画では
その目論見を余りにも矮小化していないだろうか。
「裁きは終わりぬ」が余りにも素晴らしい
作品だったので期待して鑑賞したが、
カイヤット監督に対する評価が一気に下がってしまう作品だった。
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