「この機会を逃したら後悔必至!」ミュート・ウィットネス かもしださんの映画レビュー(感想・評価)
この機会を逃したら後悔必至!
導入早々から事件が勃発し、ハラハラの連続が止まらない優れもの映画が配給元エクストリームや関係者各位の尽力によりスクリーンに帰って来ました。
ヒッチコック監督が得意とする「巻き込まれ型サスペンス」を踏襲した映画でして、ロシアに実在する撮影所モスフィルム・スタジオを舞台に撮影が敢行された意欲的な作品。
とにかく、ロケーション抜群の広大な撮影所を殺人を目撃した聾唖者のビリーが逃げ回る30分間は、息つく間もない危機また危機の連続で、瞬きを忘れるくらい緊張する展開が連続します。
しかも、たった一晩に集約された物語は、更なるスリルを孕んで可憐なビリーを窮地へと追い込んで行きます。
撮影所を離れたビリーに迫る魔の手。
犯人がいる事を知らせたくて、電話を手にしても、
口がきけない─
ロシア語が分からない─
事の重大さを認識した警察も漸く捜査に加わるのですが、ビリーにしてみれば一体全体誰が敵で誰が味方なのか皆目見当が付かなくなっていきます。
この辺りの仕掛けが非常に巧い。
ハラハラがピークに達するのは勿論の事、仕掛けそのものに全くと言っていい程、無駄を感じませんでした。
大体、この映画、ビリーの入浴シーンでさえ単なるサービス・ショットで終わらせてはおらず、彼女のヌードをきちんと物語のワン・シークエンスとして活用してましたし。
因みに、聾唖者が事件に巻き込まれるサスペンス映画といえば、オランダの奇才ディック・マースが撮ったちびっ子版ダイハード「小さな目撃者」がありますが、そちらも超お薦め映画。
ヒッチコックやデ・パルマが三度の飯より大好きだ、という人は両方の聾唖者映画を観ておいて損はありませんよ。
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