ミュート・ウィットネスのレビュー・感想・評価
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最後まで飽きさせない。
エクストリーム✕Movil ホラー映画祭
〜突き抜けた恐怖〜 にて。
(横浜ムービルでの上映、感謝します。
TSUTAYAでレンタルなく配信もない伝説の映画をやっと観られました。
新宿上映館まで行かないといけないかと絶望していましたが。)
脚本の勝利。
最後の最後まで伏線回収するので、アレコレ先が想像できたものの、
ラスト3分からは読めなかった。
飽きませんでした。
デ・パルマ『ミッドナイトクロス』で始まり、
荒々しいデ・パルマ・カットの乱用といいますか、
画質が粗くテレビ東京午後のロードショーを観ているのかと錯覚。雰囲気ピッタリ。
本作の初劇場公開、全く記憶にない。
話題になったかなぁ。
この手のモノはスキだから自分が観ていない、
はずがないのだが。
(と、遠い30年前を思い出す。)
掘り出し物のサスペンス映画
映画館においてあったチラシを見ての鑑賞。B級サスペンスかと思っていたが(←監督さんごめんなさい)、とても良かった作品でした。ビリー役のマリナ・スディナさんがキュートで魅力満開です。(今はきれいな熟女さんかしら?)
二転三転するストーリーも面白く、ハラハラドキドキしかもテンポが良いのでの充実した98分がアッという間でした。
ヒッチコックやブライアン・デ・パルマのようなカメラアングルも見応えありでした。
知る人ぞ知る隠れた傑作スリラー!
90年代初期の隠れた傑作スリラー。出てきた時代が悪かったのか完全に過小評価されている。まさかのリバイバル上映をしていると知って即新幹線でミニシアターに向かった。ロシアとアメリカなどで仲良くスタッフ、俳優が関わって作っていてたまに入ってくるコメディ要素も加わって全体的に非常にムードの良い作品。舞台はモスクワで主演のマリナ・スディナもロシア人。全体的にはヒッチコックを現代風化なアレンジした作品で無駄がなくスピーディーにスタイリッシュなカメラワークとともに物語は進んでいく。ここではネタバレはしないが赤の広場を車で突っ切っていくシーンに当時物凄く興奮した。改めて見ると一瞬だけだったが。笑
最後まで飽きさせない工夫もされて非常にエンタメ精神に溢れた作品。マリナさんが本当に素晴らしい女優なので(ちょっと笑えるヌードシーン付き)この機会になんとか劇場を探して見に行ってほしい。
声が出ないのもアリかな? 休日は「袋ください」しか言わないし
あまり点数が良くないのでガッカリしないためにマイナス要素を考えながら見てました
実は殺人事件は起こってない
ヒロインの言うことを誰も信じない
R18なのにヒロインが脱がない
ヒロインが死ぬ
最後にスタジオに戻った時に最初のスナッフフィルムのシーンにループする
とか考えましたが全部はずれで最後まで面白かったです
ハラハラしすぎて疲れたけどコメディ部分で元気になりました
世界の映画作家達に愛された、幻の一級サスペンス
【イントロダクション】
声を出す事の出来ないハンディキャップを持つ女性が、スナッフフィルムの撮影現場を目撃してしまい、戦慄の一夜に巻き込まれる姿を描いたサスペンス・スリラー。
1995年のカンヌ国際映画祭やトロント国際映画祭に出品され、『ホステル』(2005)、『グリーン・インフェルノ』(2013)の鬼才イーライ・ロス監督をはじめ、世界中の映画作家や批評家に愛されるも長らく日の目を見る事のなかった幻の一作が、デジタルリマスターで蘇る。
監督・脚本は、本作が長編デビュー作となったイギリスの映画監督アンソニー・ウォラー。
【ストーリー】
特殊メイクアップアーティストとして働くアメリカ人女性のビリー(マリナ・スディナ)は、姉のカレン(フェイ・リプリー)とその彼氏で映画監督のアンディ(エヴァン・リチャーズ)らと共に、映画撮影の為にモスクワのスタジオを訪れていた。
撮影が滞る中、スタジオの閉館時間を迎えてしまい、ビリーらはその日の撮影を切り上げざるを得なくなる。しかし、忘れ物を取りにスタジオに戻ったビリーは、施錠され閉じ込められてしまう。何とか外への連絡を試みる中、ビリーは館内に人の気配を察知してスタジオ内を彷徨う。
ビリーがスタジオ内を彷徨っていると、映画の撮影スタッフでカメラマンのリョーシャ(セルゲイ・カルレンコフ)と照明係のアルカディ(イゴール・ヴォルコフ)が、密かにポルノ映画を撮影している現場に遭遇する。気まずい雰囲気の中、声を出せないハンディキャップを抱えているビリーは撮影が終わるのを待つしかない。しかし、突如アルカディが女優を暴行し、隠していたナイフで滅多刺しにする。彼らが撮影していたのはポルノ映画ではなく、裏社会で流通しているスナッフフィルムだったのだ。あまりの光景にその場を立ち去ろうとするビリーだったが、女優の手荷物やコートが掛けられていたコート掛けを倒してしまう。
物音を不審に思ったリョーシャは、アルカディと共に館内を逃げ回るビリーを捜索する。やがて、ロシアの裏社会で「死神」と呼ばれる黒幕(アレック・ギネス)の指示により、ビリーの悪夢のような一夜が幕を開ける。
【感想】
映画作家や批評家から絶賛されながらも、日本では一部ミニシアターでの公開後、90年代というレンタルビデオ店全盛期において飽和状態にあったB級ホラー作品群に埋もれる形でビデオリリースされてしまったという不遇の名作。
予告編の雰囲気と魅力的なあらすじに興味を惹かれ、わざわざ新宿へと足を運んで鑑賞してきたが、その価値は十分にあった。
低予算ながらも(それでも、当初の製作予定費の倍額掛かってしまったらしい)、鏡や影の使い方が印象的で、随所に冴え渡った巧みな演出が光る。ポルノ女優が殺害される瞬間やビリーの鬼気迫る瞬間等、登場人物の目元のアップで事態の深刻さを演出するのも印象的。
ビリーがリョーシャに追われてスタジオの非常口に走る際の、まるで緊迫感と絶望感で彼女の視界が歪むかのような、背景の廊下が歪んでゆくカメラワークも素晴らしい。
また、脚本の出来もデビュー作とは思えない完成度を誇っており、二転三転するストーリーに最後まで目が離せない。パンフレットのインタビューによると、脚本完成から作品の公開までは10年近くの月日が経過しており、紆余曲折あったようだが、本作が無事に完成してくれて良かったと心から思う。言葉が話せないだけでなく、他の登場人物達も言語の壁により意思疎通が困難になる場面があるというのは、リアリティともどかしさが両立しており良かった。
ただし、常に観客の予想を上回ろうとするあまり、脚本として疑問が浮かぶシーンもある。特に、ラストで死神が組織の流通経路のデータが入ったディスクを回収しなかったのは、例え車ごと爆破して証拠隠滅を図る為にせよ、脚本の為の都合として感じられてしまった。せっかく直前でビリーの職業を活かした血糊と発火装置による偽装死を描いたのだから、ディスクも即席で用意した小道具の偽物とすり替えておいても良かったのではないだろうか。その上で、死神の乗る車の車内で部下が「戻ってディスクの中身を確認しましょう」と提案するが、死神は「必要ない。恐らく偽物とすり替えられているだろう」と一蹴する。しかし、死神は冷静な姿勢を崩さないまま「心配ない。何も残りはしない」と告げ、ラストへの伏線を張っておく。そして、危機迫った表情の刺客の様子に気付いたビリーと、その意図を汲みとったアンディが「車から出ろ!」と間一髪の所でラーセンの救出に成功し、ラーセンは持っていたディスクを翳して笑みを浮かべて見せるという締め括りの方が、「どんな場面においても、最後は常に主人公が敵を上回ってみせた」という演出として活きたと思うのだ。
主演のマリナ・スディナがとにかく魅力的。美しさの中に可愛らしさも併せ持つ彼女が、言葉が喋れないというハンディキャップを抱える中での必死の逃亡劇や窮地において、機転を効かせて事態を脱したり反撃したりと、単なる被害者に留まらない果敢な姿勢で様々な表情を見せてくれる。監督によると、脚本段階ではビリーには台詞があった様子だが、より困難な状況を演出する為に、撮影時に「話せない」という設定に変更されたそう。その英断ぶりに拍手。
スナッフ・ビデオの撮影・販売と、それを流通させる裏組織、組織と通じている一部の警察官の汚職ぶりは、ソ連崩壊後ロシアとなってまだ間もない、混乱渦巻く一国の黎明期の社会情勢が垣間見えるようだった。実際、監督によるとモスクワでの撮影は障害だらけだったらしく、ロシア最大の映画スタジオすら廃墟同然だったという。本作はある意味で、貴重な歴史資料の一面も持ち合わせているのかもしれない。
【総評】
公開から30年が経過した作品ながら、主演のマリナ・スディナの魅力含め、今なお通用する最後まで目が離せない一級のサスペンス。国内盤のDVDが廃盤となり入手困難な以上、是非ともBlu-ray化による再販を期待したい。
75点。最後まで気が抜けない。
古臭さが良い。
まるで、刑事コロンボを見ているかのような古臭い演出の数々。
だが、それが逆に安心感があって良い。
シリアスなストーリーだが、主人公の姉夫婦がコメディリリーフになっており
ところどころ息をつける安心設計。(ただ血と裸は多めなので注意。)
本作のシリアスとコメディの配分が昨今のスリラー映画に無い独特なテイストになっており逆に新鮮だと感じた。
事件の舞台が撮影スタジオであることや主人公が唖者であることはシナリオに存分に生かされており非常にブリリアント。
ただ、なぜロシアの撮影所なのか、なぜ主人公が唖者なのか、唸り声や叫び声さえ発せられないのかは全く説明されないのでマイナス。
(撮影所はメタ的には、ロシア資本が入ってるからだと思う。)
前半の犯人に追われてのスニーキングのシーケンスはスリリングでとても良いし、
ラストは撮影所ならではのいいオチだと感じた。(1回目は予測出来たけど。)
現在のハリウッドがブラッシュアップしてリメイクしたらより面白くなりそうだなと思った。
だが逆に、わちゃわちゃ感が消えて凡作になりそうな気もした。
業界人が選ぶ一本!っていうやつは間違いないよ。
ロクでもないものを見てしまってロクでもない目に遭う話
18禁ってなんか期待しちゃうでしょ
2025年劇場鑑賞225本目。
エンドロール後映像無し。
今日はリンダリンダリンダリンダとバレリーナに仕事を挟んでこれだったので、リバイバル率高し。
18禁のポルノといつわってスナッフビデオを撮っているのを目撃した声の出せない女性の話と聞いて、めっちゃ残酷か、ワンチャンめっちゃエロいのかなと思ったのですが、うーん、あのベッドシーンだけで?途中から18禁なの忘れてました。
話は単純ではなく、むしろ思ってもいない方向に行くのですが、考えてみたら個人のサイコパスがスナッフビデオ撮っているより納得といえば納得か。ただ、なんか昔お金のない時に著作権が切れて500円くらいで売ってたDVDの映画みたいな雰囲気はずっとあって、なんでこの映画今頃デジタルリマスター化したんだろと疑問は残りました。パンフレットはしっかり作ってくれてたのでそっちに書いてあるのかな。
最後まで飽きさせない
初公開時タイトル:「ミュート・ウィットネス 殺しの撮影現場」エリツィン政権下のモスクワでロシア人女優を主演に撮影。二転三転畳みかけるクライマックス。デ・パルマ的な雰囲気で楽しめる。
声を出せない女優が終業後の撮影所で、本物の殺人シーンの撮影を目撃してしまう。
エリツィン政権下のモスクワで、ロシア人女優を主演に撮影されたサスペンス映画。
冒頭の雰囲気から展開など、ブライアン・デ・パルマ作品の影響大!
当時のロケ地の雰囲気も含めて、終始、億徳の雰囲気が漂う。
話ができないことに加えて、英語が通じないことの二重のハンディキャップ、映画撮影の裏側を描くメタ構造、主人公の姉と新人監督の愛すべきカップルが、時に助け、時に混乱させる展開も話を盛り上げる。
アレック・ギネスも出演。
最大のポイントが、話にたびたび登場し伏線としても機能している「本当の死に直面した時の人間の表情」。
クライマックスに畳みかける二転三転の展開が心地よい。
現在の目で見るとそうだろうとは思いつつも、大オチ、小オチ、中オチの連発がいい。
カルト的に愛される作品で、30年ぶりの復活もうなずける好編。
誰が殺人者で誰が味方なのか
これは面白かったです。
唖者としてのハンディを、サスペンスの恐怖として上手く使っています。
誰が殺人者で誰が味方なのか判らず、観客もパニックに引き込まれる。
恐怖の中で、姉夫婦がコメディリリーフとしてお話しの展開に大きく関わっていくのが、とても面白かったです。
序盤の映画製作と死の恐怖が、伏線としてクライマックスを盛り上げます。
主演のマリナ・スディナがとても魅力的。
グロさは少なめ。少々カタルシスのあるエンディングが心地よいです。
よう出来てはる
この機会を逃したら後悔必至!
導入早々から事件が勃発し、ハラハラの連続が止まらない優れもの映画が配給元エクストリームや関係者各位の尽力によりスクリーンに帰って来ました。
ヒッチコック監督が得意とする「巻き込まれ型サスペンス」を踏襲した映画でして、ロシアに実在する撮影所モスフィルム・スタジオを舞台に撮影が敢行された意欲的な作品。
とにかく、ロケーション抜群の広大な撮影所を殺人を目撃した聾唖者のビリーが逃げ回る30分間は、息つく間もない危機また危機の連続で、瞬きを忘れるくらい緊張する展開が連続します。
しかも、たった一晩に集約された物語は、更なるスリルを孕んで可憐なビリーを窮地へと追い込んで行きます。
撮影所を離れたビリーに迫る魔の手。
犯人がいる事を知らせたくて、電話を手にしても、
口がきけない─
ロシア語が分からない─
事の重大さを認識した警察も漸く捜査に加わるのですが、ビリーにしてみれば一体全体誰が敵で誰が味方なのか皆目見当が付かなくなっていきます。
この辺りの仕掛けが非常に巧い。
ハラハラがピークに達するのは勿論の事、仕掛けそのものに全くと言っていい程、無駄を感じませんでした。
大体、この映画、ビリーの入浴シーンでさえ単なるサービス・ショットで終わらせてはおらず、彼女のヌードをきちんと物語のワン・シークエンスとして活用してましたし。
因みに、聾唖者が事件に巻き込まれるサスペンス映画といえば、オランダの奇才ディック・マースが撮ったちびっ子版ダイハード「小さな目撃者」がありますが、そちらも超お薦め映画。
ヒッチコックやデ・パルマが三度の飯より大好きだ、という人は両方の聾唖者映画を観ておいて損はありませんよ。
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