「ローレンス・オリヴィエの芝居がエグイ!」マラソンマン garuさんの映画レビュー(感想・評価)
ローレンス・オリヴィエの芝居がエグイ!
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ジョン・シュレンジャー監督と言えば、「真夜中のカウボーイ」を思い出すが、毛色の違うこの作品もかなり面白い一本だ。
よく出来たサスペンス映画は、時系列で問題が深刻化してゆき、徐々に緊迫感が高まっていく。 主人公を襲う悪者の存在や厳しい状況、トリックやどんでん返しなども、観る者の想定を超えていればいるほど盛り上がる。
その点、この作品はそれほどストーリー展開に依存していない。 警察組織の動きも最後まで見えないままで、リアリティを補強しようとした形跡はない。
緊迫感が若干抑え気味に感じるのは、悪役がナチスの残党であることが、勧善懲悪のニュアンスを生み出しているからかもしれない。 終始、緊張感MAXのサスペンスではなかった。
これが傑作と言えるのは、監督のパワフルな演出によって生み出されるインパクト十分のシーンが各所に散りばめられ、ハラハラドキドキだけではない見応えを味わえるからだろう。
コアとなる登場人物の表情のカットを織り交ぜ、張り詰めた空間を浮かび上がらせるあたりは、正に匠の技だ。 何度もアカデミー撮影賞を受賞しているコンラッド・ホールの映像は、演出の効果を一層際立たせている。 そして、編集のジム・クラークの仕事が素晴らしい。
特に、特に、特筆すべきは、元ナチ党員を演じるローレンス・オリヴィエだ。 憐れなほどの低俗さと信じがたいほどの冷血さを、これほど見事に演じるこの俳優は、ただ者ではない。 明治生まれの人だが、主役のダスティン・ホフマンの芝居を完全に食っている。
観て損はない、ちょっとホラーなサスペンス映画の傑作。
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