絶対の危機のレビュー・感想・評価
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ブロブに気を付けろ
1988年に『ブロブ 宇宙からの不明物体』としてもリメイクされたSFホラーのオリジナル。1958年の作品。
50年代~60年代のB級SF映画の一つなのだが、今や隠れた名作に。
と言うのもタイトルを見れば承知。主演は後の大スター、スティーヴ・マックィーン!
彼の初主演作であり、B級ながらツボを抑えた娯楽作。これぞレアで掘り出し物!
大まかな話は『ブロブ』とほぼ同じ。
アメリカのとある町に隕石が落下。その中から現れたアメーバ状の物体が人々に襲い掛かる…!
イイね、単純明解。分かり易くて。
最近のSFは時々複雑過ぎて…。勿論嫌いじゃないが。
『ブロブ』の時はチープさは残しつつも進歩したSFX技術だったが、こちらは完全な特撮。
“ブロブ”はモノホンのゼリー状の物質や人を食らって大きくなったバージョンはブニョブニョ感が伝わってくる造型で表現。
超チープではあるが、往年の東宝特撮を彷彿させ、何だか親近感沸く。
スティーヴ・マックィーン演じるスティーヴは(←冗談ではありません)、不良と好青年の中間といった所。後の役所はアウトサイダーが多い故、何だか新鮮。
“問題児”とされているので、怪物を見たと言っても、馴染みの警官も大人たちも誰も信じてくれない。
恋人と不良仲間たちだけで立ち向かう。
危機一髪、襲われる。
やはり怪物は居た!
町に警報を鳴らし、危機を知らす。
また悪ふざけか…と思ったその時、遂に怪物が現れ、町はパニックに!
話も展開もお決まりベタ。でも、最後は信じて貰え、共に闘うというのは分かっていても痛快。
本当にチープ。B級。ツッコミ所など挙げたら上映時間以上。
だけど、やっぱりこういうのがどうしても好きなのよ。
怪物の意外な弱点。寒さ。
二酸化炭素ボンベのガスで凍らせ、軍のヘリで北極へ。が…
ラストのスティーヴの台詞「凍っただけ」「北極が寒い限り」と、“END”マークからの“?”マークが意味深。
そう、“ブロブ”はまたやって来て(リメイクの『ブロブ』)、
不謹慎ながら3度目の襲来も望む!
クエスチョンマーク?
スティーブ・マックイーンがこの手の映画に出演?、ということで鑑賞。
ジェームズ・ディーンの「理由なき反抗(1955)」と「原子人間(1955)」を合体させたような青春ホラー映画。62年も前の作品なので流石に今観ると物足りないのも否めませんね。
CGなんてない時代だからゼラチンや水あめ的なモンスターは手軽さNo.1、いわばレジェンド、東宝の「美女と液体人間(1958)」もその走りでしょう。ただ、東宝の方はメロドラマ風、必然性の無いお色気シーンも加えてB級ホラーの典型的つくり、本作は男女関係も明朗健全、町民が力を合わせて消火活動ならぬ怪物退治に一致団結というベタな展開で王道の青春映画風なのでした。
ジェームズ・ディーンは不慮の事故死を遂げていたし生きていてもギャラが高くて無理、ほぼ同年代で売出し中のスティーブ・マックイーンを起用、売れていたらこの種の映画は避けていたでしょうに初主演とギャラ3000ドルに折れたのでしょう。映画でもオマージュもどきに不良連中と珍奇なレースをしていますね。
「原子人間」は当時、夜空を見上げるのが怖かった記憶が残る名作だが、こちらは技術不足なのか襲われるシーンが描けておらず怖くもなんともない、あまりモンスタードラマに寄せるとマックイーンが降りてしまうと思ったのでしょうかね。感電死を狙うのは明らかに「原子人間」へのひっかけなのだが2番煎じなので消火器で撃退、この種の映画に欠かせない異端の生物学者も登場せず、いきなり海に投棄ではあまりにも無責任、次は殺人クラゲ?、続編への算盤づくがありあり?。「美女と液体人間」では火炎で殲滅だが生物ならその方が妥当な対処、ただこちらは隕石由来なので熱に弱いとすると大気圏突入時に死んでしまうからだろうし冷却で冬眠は寒い宇宙を旅する術だったのでしょう、そう考えるとお手上げでクエスチョンマーク、問題先送り型解決も浅知恵として納得なのかも知れません。時代を考えると若者向けの娯楽作としては上出来の部類だったのでしょう。
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