「今や古典?キャスティングに見るハリウッド」マーヴェリック うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
今や古典?キャスティングに見るハリウッド
リメイク作品だけに、オリジナルへのリスペクトも込めた、ジェームズ・ガーナーのキャスティングも含み、企画の進行がメル・ギブソンの主演映画で、アクションコメディというアイデアありき。共演女優には、これまた人気者の実力者で映画人でもあるジョディ・フォスター。公開された当時は期待度MAXの作品であった。
ちょっぴり笑えるカメオ出演(『リーサル・ウェポン』シリーズで相棒のダニー・グローヴァー)や、お友達キャスティングも含め、この映画にはメルのわがままが随分まかり通っている。楽しそうにアドリブをかますのを冷静にいなすリチャード・ドナーの采配ぶりが目に浮かぶ。何しろ翌年に『ブレイブハート』で監督、主演をこなし、映画人として絶頂を極めるメル・ギブソンに、なにか意見を言える人間など、この時期存在しなかったに違いない。
この映画のテイストは、『リーサル・ウェポン4』に引き継がれている気がする。徐々に人間らしさが発露していくリッグス刑事をこの段階でドナー監督と模索していたようだ。そしてメル自身は、一人のキャラクターにイメージを固定されることを避け、いかにキャリアを拡げるかをトライし続けた。
その人気の100分の1も稼げなくなったメルは、それでも良質の作品を制作し続けている。この頃は、力の抜けた軽妙なコメディを軽く撮りあげてしまうほどに力があったのだ。
枕営業。セクハラの強要。女優のギャラ配分。主演は人気俳優。アジア系(特に中国人)俳優には狭き門。出演者がほとんど男性。など、今では考えられないほどにハリウッドはいびつな社会だったことがわかる。いや、どうだろう?今の時代に謳われる多様性、LGBTQ?#me tooで、映画は面白くなったんだろうか。