「忖度なんて言っている人はジャッキー・チェンの映画は見ない方が良い」新ポリス・ストーリー mamemameさんの映画レビュー(感想・評価)
忖度なんて言っている人はジャッキー・チェンの映画は見ない方が良い
1993年製作の香港刑事映画。
それまでのポリス・ストーリーとは違って1990年に実際にあった事件をベースにしてシリアスに描いている。
アクションはあるが、過去のポリス・ストーリーと比べると抑えめ。
だいたい邦題で「ポリス・ストーリー」と入れたけど原題(「重案組」)はまったく関係なし。
香港、中国、台湾をまたいでの捜査が、当時の中国人関連犯罪捜査の複雑さを表していて、今見ると興味深い。
当時は「大変だなあ」くらいにしか思っていなかったが、旅行でそれぞれの場所に行ったりして理解を深めた今では、そのねじれや分断がもう少し理解できるようになった。
ところで、深センから誘拐の電話が掛けられていたが、あの頃は深センなんてそんな重要な場所じゃなかった。単に香港に隣接している中国側の場所だったし、日本で知っている人なんてほとんどいなかったんじゃ?
それが今では香港よりもすごいところにしようということで躍進目覚ましい。そんなギャップも面白い。
ジャッキー・チェンの政治スタンスについて。
香港返還は1997年。しかしそれは1984年の英中共同声明で決定したこと。
ジャッキー・チェンは早くから返還後の体制を見越して映画を作っていて、1992年製作の「ポリス・ストーリー3」でも「どうせ一緒になるんだし」というセリフを発している。
そのあたりを見ると肯定派だったことに疑問は無い。
香港がどうあるべきだったかは既に語るべきものではなく(語るのなら「これからどうすべきか」が重要)、ましてや25年も前の出来事、その時の政治スタンスを以てジャッキー・チェンを語るのはもういい加減にしないかと言いたい。
(邦画吹き替えで中国が「本土」になってたとか、それは日本側の配給会社の問題であってジャッキー・チェンとは関係なかろうに)