「牧師の最期にイエスの姿が重なったが…」ポセイドン・アドベンチャー(1972) KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
牧師の最期にイエスの姿が重なったが…
NHKBS放送を機に何回目かの再鑑賞。
色々な作品が頭をよぎった。
一艘の豪華客船に乗り合わせた登場人物の
たくさんの人生が交差する
「グランド・ホテル」方式のような群像劇。
誰が逃げ切れて、誰が命を落とすのか、
「大脱走」のような集団脱出劇の装い。
最高速度を求める船主サイドと
安全を優先したい船長との確執は
「タイタニック」も思い出す。
これまでも、自然災害物、航空機物、
海洋物、宇宙物等々、
たくさんのパニック映画を観てきたが、
特撮のレベルも、人間描写も、
この作品が一番の優れものとの印象だ。
それにしても、この映画、随分と大切な
人間関係を引き裂く展開ではある。
女性シンガーと兄、ユダヤ人老夫婦、
警察官と元娼婦の妻、
そして神とその遣い手の牧師。
ただ、牧師が神と対峙しながらも
最後の自己犠牲の姿は、
「どうして私をお見捨てになったのですか…
私の霊をみ手に委ねます」との
イエスの最期の言葉に重なり、
牧師は神と引き裂かれたのではなく、
ある意味、彼はキリストであって、
人々を約束の地に導く役目を終え、
むしろ、神に身を委ねたかのようにも
思える鑑賞になった。
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