フル・モンティのレビュー・感想・評価
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落ちこぼれが集まって一発逆転を狙う物語
落ちこぼれが奮起して一発逆転を狙うというストーリーに引かれて借りてみた。落ちこぼれの逆転劇という要素と、個性豊かなキャラクタがグループを作って共通の目的に向かうストーリーは、前者についてはドラゴン桜とか異世界転生系全般の物語の始まりのストーリーラインで見られるし、後者についてはけいおん!とかウォーターボーイズとかいろいろあると思う。今作はそういった「落ちこぼれの逆転劇」と「新しい組織をつくってそこで共通の目的を達成」という2つの視聴者の欲を満たすネタが込められており、パッケージに映るキャラクタのファッションや裏の簡単なあらすじを読めばそれが期待できるから自分は今作を見ようと思ったんだと思う。
結論として、そこまで没入感がなく、ながら見となってしまった。理由についてはあんまり考えずにテキトーに書いてみる。①登場人物のビジュアルが悪く、ストリップという見せるテーマにそのビジュアルは合わない(会社の宴会芸の悪乗りや温泉で鉢合わせする別に見たくはないものを見せられている気分にさせられる)②時代背景に共感する要素が少ないから、登場人物とフィーリングが合わない(例えば中年の汚い体を晒す男のストリップを見て沸く女性陣の感覚に共感できない)。③ストーリー全体を通して登場人物皆が深刻ではないが抱えている葛藤とぶつかる不快感が見せられ、ユーモアを交えた描写でその不快感は中和させられているが、それでは足りない。鬱屈とした雰囲気を諦めながらユーモアでなぞっても視聴者の気分は踊らない。
前段落で書いたことは本当にテキトーに書いたことだ。あんまり楽しめなかったからその理由探しを適当に言っただけなところがある。主人公の立ち位置である駄目なバツイチ中年男カズの子供ネイサンの美形の顔が記憶に強く残っているので、結局はネイサン以外の登場人物の顔に魅力がなかった、と言ってしまっても言い過ぎだが間違っていない。
今作のエンディングは、登場人物たちの行動目標であったストリップを女性客の前で行っているという一番の盛り上がりで終わらせるという方法になっている。同じ手法の作品として自分の中ではロッキーが思い浮かぶ。ロッキーはそれでいいと思ったが、今作は中途半端感を感じた。何故か考えてみると、ロッキーではリング上でロッキーがエイドリアン!と叫び、試合の結果よりも二人の愛の確信を見せつけられるからそこで全てが視聴者にも伝えられ満足するのだが、今作ではストリップ劇の成功は感じられるが、登場人物達が抱えていた葛藤の帰結が分からず、不安が残る終わり方だ。
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