フランケンシュタインの花嫁のレビュー・感想・評価
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前作を「陰」とするなら、こっちは「陽」
色んな点で前作とは対称的な作品。
まず、前作で誕生するのは男の怪物だが、本作で誕生するのは女の怪物である。
前作の怪物は無邪気な幼な子のようなところがあったが、本作では言葉をしゃべり高い知性を感じさせるし異性にも興味津々。前作の怪物が幼な子なら、本作の怪物は思春期である。
前作をシリアスドラマとするなら、本作はブラックユーモア的なコメディ色が強い。
前作をSFとするなら、本作はファンタジー色が強い。
なんだかんだで前作を「陰」とするなら、本作は「陽」の雰囲気が強いのである。
前作は『フランケンシュタイン』(1931)。
言わずと知れたモンスター映画の金字塔。フランケンシュタインの怪物のイメージを決定付け、今だに世界中のホラーファンから愛されている傑作である。
前作を大ヒットさせたジェームズ・ホエールは続編の監督をやるのをずっと渋っていたらしいのだけど、作品に関する全ての決定権を自分が持つ、という条件で引き受けたそうである。
そのジェームズ・ホエールが強くこだわったのが怪物の花嫁役としてエルザ・ランチェスターを起用することだったみたいで、確かに本作の成功は彼女によるところが大きいと思う。
一見、ツンとお高くとまったクール・ビューティーなのだけれど、奇妙な親しみやすさがあるのだ。
怪物の花嫁は、あのインパクトのあるチリチリ頭の強烈な風貌である。
一歩間違えたら悪ふざけのパロディみたいな作品になりかねないところを彼女は気品とユーモアを兼ね備えた演技で花嫁役(と原作者のメアリー・シェリー役の二役)を堂々と演じ切った。
彼女のおかげで本作は「ダメなPart2」の仲間入りをしなかったのだといっても過言ではないだろう。
さらに、本作の陰の(?)功労者と言ってもいいのが、フランケンシュタイン博士の禁断の実験に手を貸すプレトリアス博士という悪魔的な人物である。
ホラー小説家のクライヴ・バーカーはこの博士をゲーテの『ファウスト』に登場する悪魔メフィストフェレスのようだと言っていたが、慧眼である。
このプレトリアス博士、風貌も言動もまさに人間を誘惑する悪魔そのもの。
フランケンシュタイン博士が男の怪物の創造に成功したという噂を聞きつけ、次は女の怪物を造って二人を結婚させて生殖行為をさせようと博士を焚き付けるのだ。
これ、深く考えると(深く考えなくても)かなりヤバい話であり、現代のクローン人間の問題にまで繋がる倫理的な危うさを秘めている。
プレトリアス博士という悪魔的な怪人物が登場することで物語は一気にファンタジックな様相を帯び、さらにはこの博士のユーモラスなキャラクターによって作品全体がブラックコメディー調となってテンポよく動きはじめる。
前作と本作でメインキャラのフランケンシュタイン博士がいまいち地味で面白味のないキャラクターであるのに対して、プレトリアス博士は面白すぎる(笑)キャラクターであり、ある意味本作は前作よりも"面白い"作品になっている。
本作は物語としては悲劇的な色合いが濃い。
にも関わらず作品全体が暗い雰囲気にならないのは、怪物の花嫁を演じたエルザ・ランチェスターとプレトリアス博士を演じたアーネスト・セジガーという俳優の体当たりの怪演によるところが大きい。
惜しむらくは怪物の花嫁の出演シーンがびっくりするほど短いこと。
もっとエルザ・ランチェスターの怪演が観たかった!
でも、短い出演シーンでこれほど強烈な印象を残すキャラクターというのも滅多にいない。天才ジェームズ・ホエールの手腕に唸らされる。
モンスター映画ファンならもちろんのこと、ティム・バートンの『フランケンウィニー』が好きという方なら前作と合わせて観ておいて決して損はない傑作である。
We belong to die. モンスターの悲哀
フランケンシュタインのイメージを決定付けた1931年の「フランケンシュタイン」の続編です。リメイクされそうにもなりましたし、ホラーファンの中では何故だか有名な本作。フランケンシュタインの怪物に悲哀を感じるからでしょうか?
思いっきり前作のエンディングの後から始まるストーリーでした。フランケンシュタインの怪物は普通に生きてましたね。で、本作で怪物がカタコトですが、喋れるようになります。お勉強のシーンはなかなかキュートでした。せっかくできた花嫁に拒否される姿が可哀想です。切ね~。
でも、この元となるストーリーが約200年前に18歳のメアリー・シェリーによって書かれてるってのがスゴいですよね。小説は読んだ事がないのですが、花嫁についての言及もあるみたいですし、このフランケンシュタインは1と2で1つの物語になっていると思われます。
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