「昆虫探偵誕生」フェノミナ KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
昆虫探偵誕生
ウジ虫くんモゾモゾ、ハエさんブンブン!
昆虫を愛し昆虫に愛される美少女ジェニファーの嫌悪たっぷりな捜査劇。
昆虫を介して事件の解決に迫る、という斬新な設定。
死骸に集る虫の種類から死亡時期まで正確に読み取る教授すごい。虫すごい。
そして何よりジェニファーの熱い能力。
彼女に一番力を貸しヒントを与えるのがハエやらウジやらの汚い虫なのが好き。
絶対に蝶を添わせることはしないところに並々ならぬこだわりを感じた。
転入先の寄宿学校でのいじめのシーンが結構キツイ。
わりと幼稚ないじめ方だけど、カメラワークといい寄って集って迫られる感じといい本当に嫌な気持ちになる。
そこからの逆転、ハエ集団の襲来がめちゃくちゃかっこいい。「みんな、大好きよ。」の台詞が痺れる。
しかしジェニファー、機転はまあまあ効くけどあまり頭は切れないようで。
変なところでドジったり、明らかに様子のおかしいブラックナーに渡された薬を飲んだり、そこで電話できるわけないじゃんとか…。
その辺のバランスがクセで好き。
死体とウジ塗れのプールにドボンは肥溜めに落ちるのと同じくらい勘弁願いたいところ。
途中までチンパンジーのインガちゃんが犯人かな、いやでも教授は殺さないだろうしあの純粋な瞳で人を殺せるかな、なんてグルグル考えていたらまさかの方向に真実があった。
あの化け物チャイルドは図体は小さくともだいぶいい歳いってると思う。力強いし生命力もなかなか。
以前の住屋である最初の小屋に繋がれていたのか。
造形の気持ち悪さは天下一品。ハエに食われる皮膚の引っ張られ感がたまらない。
最後のしつこすぎる畳みかけがやばすぎて楽しいやらびっくりやらで大変忙しかった。大好き。
鉄板で首が飛ぶって…完全にギャグである。かわいそうなモリスおじちゃん…ご冥福を。
そして唐突なインガちゃんのトドメ刺し。いつからここに。そこの救世主は虫じゃなくてサルなのね。
やっとこさ終わったあとの二人(一人と一匹)のそっと抱擁する姿にはなんだか感動してちょっと泣いてしまった。
ナイフで遊ぶなって教授に言われていたからあの手放し方だったんだなとか、目の前で殺された恨み少しでも晴らせて良かったねとか思って。
インガ役のチンパンジーに助演女優賞あげたい。
偶然だろうけど名前が「因果」なのが面白い。
虫のシーンはどうやって撮ったんだろう。
血液がピンクの絵の具じゃなくてちゃんと赤黒くなっていたことが嬉しかった。
それにしても主人公のみならず出てくる女性が見事に全員美女、美少女でよくここまで集めたなと謎に感心してしまった。
白い服を着たジェニファーとスイスの草原の景色があざといほど似合っている。その汚し方はもう個人の癖っぽい。
なかなか安心できない展開と、好き放題詰め込んだ感満載のポップなタッチが好きで本当に楽しかった。
一部音声がイタリア語吹替に切り替わる謎仕様だったけど、DVD作成時の事情なのかな。
新文芸坐オールナイト上映にて。この作品を劇場で観られて良かった。