「ザ★アメリカンニューシネマという作品」ファイブ・イージー・ピーセス redirさんの映画レビュー(感想・評価)
ザ★アメリカンニューシネマという作品
イージーライダーが1番と、ずっと思ってきたが、これも素晴らしいアメリカンニューシネマ作品で、ジャックニコルソンはこの作品ではとてもハンサムで素敵だ。カレンブラックもよい。富めるものやインテリが定義する基準や規則や教養や人生観世界観から逃れようとすればするほど、自分にギャップを感じてしまい、可愛いいけど教養もお行儀も知らない彼女も、自分より仕事では先輩なのに同じ仕事をすぐできてしまう、つまり単純労働者である同僚とも、うまくやりたい、嫌いじゃないのに、どうしてもイライラを感じてしまう。同僚は生活に困り盗みを働いていたから警察に捕まってしまい、金持ち階級の自分とは違うということを思い知らされるし、彼女のレイも無教養で自分と対極なことから付き合いはじめてそんな自分にもそのような内面的な葛藤とは無縁な彼女にもうんざりしてる。出奔した実家に帰り兄の恋人でインテリ美人なピアニストを好きになり自陣みたいに行き当たりばったりの人生を誘いかけるが断られ中途半端な生き方をなじられる。妊娠した彼女を実家に連れてはみたものの結局プアホワイトとして彼女と子供と家庭に束縛されることも選択できず、またあてのない旅に出てしまう。途中出会ったヒッピーの女性たちはいまならSDGsと名前をつけられているような問題を偏屈に、屁理屈な思い込みで語り怒り、白くて清潔だと信じるアラスカに向かう。
自分が行くところが悪くなってしまう、とは病気で話もできない父親、家出前は最大の敵で全く理解し合えない相手だった父親に話しかける。自分もなんちゅって旅人をしていた時、居場所を探してうろうろしていたがその時たまたま知り合った人に、あなたは自分で自分の居場所から追い出してしまう、そのことの繰り返し、なんでそうなのか?と言われたことを思い出した。昔の話だが。今は、ジャックニコルソン演じるボビーとは反対に、致し方なく、自分を追い出して自分の居場所らしきところにへばりついている。アメリカンニューシネマに、イージーライダーに、初めて出会った頃の行き場がないけど、満たされないけれど、そんな焦燥や怒りの中で、アメリカンニューシネマの泥臭いカッコ良さに自由を感じ心酔していた頃を思い出した。