「ちょっと社会派パニック」ピラニア(1978) kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと社会派パニック
スコッチ、ジン、バーボン、そしてテキーラを町から買ってきたジャックじいさん(キーナン・ウィン)はポール(ディルマン)に渡す。なんとジャックの連れてる犬の名はブランディだ。山奥の小屋に住むポールは失踪人捜索会社のマギー(メンジース)の訪問を受ける。彼女は山に消えたカップルを追っていたのだ。
山小屋のそばには軍が残して行った施設があり、男女はその立ち入り禁止区域に入り、そこのプールには生物兵器として改良されたピラニア群が棲んでいたため、無残にも殺されてしまう。マギーは真っ先にプールが怪しいと睨み放水を開始するが、それを制止しようとする男がいた。軍の依頼でベトナム戦争で使う生物兵器を開発していたロバート・ホーク博士(マッカーシー)だ。しかし、強引に川に放水したマギー。やがて、ピラニア軍団は川を下り始める。ダムで堰き止めることは間一髪間に合ったが、軍隊がやってきて、毒で殺せるはずと楽観視していたが、ピラニアは支流を通って子供たちのキャンプ地へと向かう・・・
キャンプ場だけで終わるかと思えば、もっと下流のリゾート地のオープニング会場にまで被害は及ぶ。まさに地獄絵図と化したリゾート地。最後はポールが以前働いていた工場の廃液を流すことで解決した。
『ジョーズ』に影響を受けた作品ではあるが、こちらはリアルなパニック映画というより、軍批判や大人のいやらしい部分を見せつけてくれる作品。戦争のためとは言いながらも自国民でさえ殺してしまう生物兵器。さらに軍の払下げ地で儲けようとした資本家の姿など、かなりどぎつく描いているのだ。最後には軍の女科学者がマスコミに対して安全宣言をする冷徹さが恐ろしくなる。
冒頭ではジョーズのアーケードゲーム。キャンプ場では『白鯨』を読んでる人など、かなりのオマージュと考えられる。
cf.『殺人魚フレイングキラー』