秘密の花園(1993)のレビュー・感想・評価
全1件を表示
ビフォア・アフター
クリックして本文を読む
イギリスのご婦人はガーデニングがお好きな方が多いことでも有名。小公子や小公女でも著名な原作者バーネット夫人の晩年の作品である。以前、借り受けた屋敷にある荒れた庭園を見つけ再生に腐心した思い出を基に本にしたそうだ。
子供たちが主役で大人たちは何か残念な人達に描かれる、心を閉ざし、美しかった庭を閉ざし現実から目をそむけるばかり、これは館の主アーチボルド・クレイヴン卿を借りながら世相への作者の失望と幻滅を象徴しているのかもしれない。
メアリーとコリンの話はアルプスのハイジとクララのようでもあり自然の美しい風景と小動物たちを描くのは児童文学の王道だろう。ただ、薄幸の美少女でなく無愛想なお転婆という設定は意味深だ。家政婦のメドロック夫人はまるで童話の魔女、お屋敷も恐怖の館風だったり、花園を夫人の事故死の現場と言って荒れ放題をつぶさに映す冷たい描写、犬もなんとも無愛想、コマドリが可愛いと思ったらカラスが登場、随所に細かい棘が仕掛けられており素直に酔わせてもらえない。確かにビフォア・アフターのギャップがドラマツルギーなのだろうが素直なメルヘン風の方が好みなので微妙でした。
コメントする (0件)
共感した! (0件)
全1件を表示