「忠節・滅私奉公」日の名残り odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
忠節・滅私奉公
政治への関心が高く、伝統を重んじ騎士道精神を具現化したような英国貴族ダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)に仕えた典型的な執事スティーブンス(アンソニー・ホプキンス)の物語。
35歳のカズオ・イシグロは3作目にして、これぞ英国という自身のアイデンティを示すような作品を書き上げた。舞台は英国なのだが忠節・滅私奉公を美徳とするような使用人像、自己抑圧的な恋愛観はどこかで古い日本人気質と通じる気もする。フランスの意趣返しともいえるベルサイユ体制はアンフェアすぎるという英国貴族の気質がヒットラーに政治利用されたというダーリントン卿の話はフィクションとしてもウォルドーフ・アスター子爵というモデルは実在したらしい。
派手なアクションも事件もないのだが見入ってしまうのは名優たちの好演によるのだろう。
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