「切なく美しく尊厳を揺さぶる」日の名残り nagiさんの映画レビュー(感想・評価)
切なく美しく尊厳を揺さぶる
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明らかに間違っている瞬間を目にしても、異を唱えることも、自らの主義主張を明示することも控えなければならない、サーヴァント、スティーブンス。その抑圧は、恋愛にさえも当てはまるのか?恋愛の自由さえ、享受することができないのか?そうではないはずである。
ミス・ケントンは彼から自己を消失させた生き方を学ぶが、ベンによって人間らしく生きることの重要性を再認識し、スティーブンスから人間らしさを引き出そうとする。
ケントンとスティーブンスの別れは、あまりにも切ないが、スティーブンスにとって人生の悦びとは、誰かに仕えて真っ当な仕事を完遂することだった。彼には仕えるべき新たな主人がいる。故に恋心でさえも、隠してしまった。だがそれこそ彼自身の選択なのであり、名残惜しい別れは、互いが互いに確固たる意志をもった決断だったといえよう。
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